ありそうでなかった、親子共演。


そして、あまりなじみのないルーマニア産。


情報だけでも、もうおもしろい。


どんなものが来るのだろうと、

自然と身を乗り出してしまう。


ニッチすぎて、

想像が追いつかない。


ところが香りは、どこか日本的。


けれど、和ではない。


洋と和が入り混じった、

少しハイカラで、

それでいてなじみ深い。


果物に例えるなら、八朔。


それも、まだ熟しきっていない

青い八朔。


柑橘の酸と、

ほのかなハーブ。


皮というより、

白いワタの部分。


少し残った白い部分ごとかじったときの、

あのほろ苦さ。


大人の酸味。


そして、わずかに大地の気配。


木になったままの八朔。

そんな景色が浮かぶ。


口に含むと、裏切らない。


ほろ苦さと酸味が、

そのまま走る。


ここまで香りと味が揃っているワインも珍しい。


ぶどうなのに、

全力で八朔に擬態してくる。


ただ、細くはない。


軽やかなだけでは終わらない。


奥に、確かな飲みごたえ。


静かな重心。


誰かが、

見えないところで、

きちんと支えている。


それはきっと、

もう一つの品種の、

静かな仕事。