ボージョレという遠く離れた地から来たのに、

どこか和歌山の空気をまとっている。


生産者が日本好きなわけではない。

たぶんこれは、私のアンテナの問題だ。


ヌーヴォーの印象が強いガメイ。

軽い、若い、頼りない。


でも、この一本は違う。


軽い。

やわらかい。

そして、染み込む。


鋭さで主張しない。

重さで押さえつけない。


包み込むような優しさ。


滋味深い、という言葉が似合う赤。


和歌山らしさ?

そう問われるなら、こう答えたい。


青じそを香ったときの爽やかさ。

梅の果肉の甘酸っぱさ。


派手な梅干しではない。

塩角の取れた、やわらかな梅。


だから、どこか梅しそに感じる。


トコトコと軽快に走る。

小さいのに頼もしい。


無理をしない。

でも、ちゃんと前に進む。


フィアットのような飲み心地。


ヴィクトールは、息子の名前だと知った。

あの優しさの理由が、少しだけ分かった気がした。


フランスとイタリアと日本が、

どこかで静かにつながる。


派手さではなく、

日常を少しだけ豊かにする赤ワイン。