全公演にストレイテナーが出演するため事実上、ストレイテナー年内2本目のツアー
しかしストレイテナーはあくまでゲストアーティストであり、メインアクトはこのツアー初日にあたるKT Zepp Yokohamaが初ライブとなる633
もう正体はバレバレ
けれども開幕するまでどうなるか、全く予想できないツアー初日である

・ストレイテナー
しかし今回のツアーのトップバッターはシンペイが事前にインスタライブで発表していた通り、まさかのテナー
転換を考慮すると633とテナーは前後すると想われたのでこれは予想打にしない出来事(なぜ前後すると思ったかには決して触れてならない)

定刻を少し過ぎた頃にゆっくり暗転し、「STRT Rock and Roll」がいつものように流れるとOJ(Gt.)はSpitzのマサムネを意識したのか11月でもハイハットを着用し、シンペイ(Dr.)は633のバンドTを装着
ひなっち(Ba.)は自身のベースやエフェクターに貼っている「極」がプリントされたTシャツを身につけ、ホリエ(Vo. & Gt. & Key.)はほとんど普段と変わっていない

ワンマンでないこともあり早々にSEを打ち切ると最近はあまりなかった「The World Record」始まり
この前日、自分はKing Gnuの東京ドーム公演を見てスタジアムクラスのアンサンブルに圧倒されてタイムリープしたくなるほどに記憶に残ったが、シンペイのドラムの破壊力は勢喜(King Gnuのドラム)に負けてないと思うし、ひなっちのスラップベースは今日もバッキバキ
発声は出来なくとも一瞬で会場を1つにしている
無論、発声を煽るのは問題ない
しかしテナーサイドは一端、様子を見ているのだろう
その分、ホリエはいつもより声を出しているように見えた

ループミュージックのように流れる不穏なメロとグルーヴがボディーブローのように追い打ちを掛ける「VANADALISM」も久々
非常ベルのように警告を発するOJのギターに2サビ直後の爆発は最近味わってなかった
一時は「VANDALISM」から「KILLER TUNE〜」に当たり前のように繋がっていたけど、この連携プレーを最後に見たのはいつだろう

「今年最後のツアーです。633に連れてきてもらいました(笑)」

とホリエが633に触れるだけで笑いが起こるのは、先月以降もうお約束に
そりゃあ、正体がバレバレだから隠しきれないんだけれども、共演するAge Factoryのことは、

「Age Factoryは同世代だったら間違いなく対バンしている。リハも見させてもらったけどもう心にジュンジュン来てる(笑)」

と謎の表現を使用するホリエ
チュンチュンじゃないのか(笑)

主催ライブ以外では設置されないひなっち用のマイクがあるものの、スリーマン故の持ち時間の短さから曲調がジェットスターみたく変化しまくる「DAY TO DAY(ここでもシンペイのドラムはパワフルだし、ひなっちのベースも重低音が凄い」を筆頭に次々と曲を連打
けれどもフェスのように「REMINDER」や「Melodic Storm」を行うことはなく、むしろオフラインライブでは久しく演奏されてなかった「PLAY THE STAR GUITAR(余談だが、この曲名は「ハレルヤオーバードライブ」というバンド漫画のタイトルに引用されている)」をぶっ放す奇襲戦法
OJが爽やかな音色を奏でる「シーグラス」も早々に演奏され、いつもと構成が大いに異なるのは日の目を見るより明らかである

ホリエがギターと鍵盤を交互に使いこなす「The Novemberist」が聞けるのはこの時期の風物詩
去年は11月も12月もテナーを見れなかったので聞けなかったけど、12月になったら「TENDER」も聞けるのだろうか
もう今年も終わりを数える方が早い

シンペイによって慎重に刻まれたビートに、ひなっち以外の3人が声を重ね、ひなっちはグルーヴ強めのベースで地盤を安定させる「Lighting」を終えるとスタッフからMCを促され、急遽トークを行うが、

ホリエ「633と楽屋同じなんだけど633の部屋が更にあるから奥に籠もって出てこない(笑)」
シンペイ「冷蔵庫にいるのかな?」
ひなっち「まだ化ける前なんじゃないないの?」

と話せば話すほど手品の種明かしをするようなもので、危ない橋を渡っているも同然(笑)

「ソーセージがバンドするなんて凄い時代になったなー(笑)」

とはひなっちの弁だが、もう隠しきれてない(笑)

「もうちょっとだけ、ロックしていきます」

とホリエが話し、夏のロッキンで演奏した最高のロケーションが今も忘れられない「宇宙の夜 2人の朝」でひなっちのバッキバキなベースと共に、ホリエが鍵盤で星空を輝かせたあとは、冬になったら雪見だいふくをこたつで食べたい用に、冬にライブ会場で聞きたい曲No.1な「冬の太陽」がラスト
OJのノイジーなギターが何もかもを溶かしていくラストは珍しいが、こんな早く4人が肩を組んでお辞儀するのも珍しい
この後我々は更に奇妙な瞬間を目撃することになるが(笑)

セトリ
ワルレコ
VANADA
DAY
スタギタ
シーグラス
Lighting
The Novemberist

宇宙の夜
冬の太陽/冒頭で歌詞飛ばし(笑)

・Age Factory
昔からバンド名は知っているし、軽音楽部に所属していた際に後輩がBGMとして流していたこともあるAge Factory
一応2020年の年間ベストアクトでは上位に選出していたものの、ようやく初めてライブを見ることに

テナーが終わってから15分程度という驚異的な速さで転換が終わり、海を匂わせるようなSEが場内を漂うと清水たち(Vo. & Gt.)はステージへ
スリーピースバンドではあるものの、ライブになるとサポートギターを加えてフォーピース編成となるようだが、

「Age Factory」

と清水が挨拶のように告げら「OVER」を鳴らし始めると「ハードコアに影響されたんだろうな」とアルバムを聞いて思った通りの爆音
並びに激しい照明がメンバーの姿を見えなくするほどの点滅を起こしているが、続く「SKY」で一気に晴れ渡ったように、ゴリッゴリのベースを西田(Ba.)、シンペイに匹敵するほど一打一打が大きい増子(Dr.)と共に形成するアンサンブルは決して触れ合いを拒絶するものではない

「ストレイテナーに呼んでもらいました」 

と呟く清水に「それ言って大丈夫なのか?」と思いつつ、RIZEやThe BONEZのJESSEがゲストボーカルとして参加した「Light Off」ではJESSEのボーカルパートも担当しつつ美しさも魅せるが、

「ストレイテナーじゃありませんでした、633でした(笑)」

としっかり謝罪する清水(笑)
やっぱりあれはケアレスミスだったようだ

「僕たちは音楽で誰かを救いたいと思っています」

と気を取り直すように清水は説明し、「Say no more」へ繋げるが、確かにAge Factoryの音楽に刺々しさはない
力強さは暴力ではなく、人を救うために
そんな優しさに溢れたアンサンブルがAge Factoryだと思う

「俺たちは奈良が地元なんですけど、奈良を出るとみんなが聞きに来てくれるのが嬉しいです」

と清水がバンドマンらしい発言をしたあとにはMAN WITH A MISSIONの同名曲と全く別方向に行き、遊園地に設置されている回転木馬のように優しいメロディがただただ伝わる「Merry go round」、清水が友人を踊らせたくて作ったらしい「Dancing all night my friends」では西田のグルーヴィなベースで文字通りダンサブルな曲調に仕上がっているが、「TONBO」は増子の力強いビートが響き一転してパンク
美しさも力強さも備わっている

そうした2つの武器を活かすように「Feel like shift today」、「Blink」と続けると

「ホリエさんが好きと言ってくれた曲」

こと「High Way Beach」
優しさも力強さもメロディもアンサンブルも全て備わっている
ホリエが同年代だった対バンしていると話したのもますます納得できる

そして

「初めて俺たち見てくれた方がまた見に来てくれると嬉しいです」

と清水が再会できるように祈りながら、最後は全ての夜に捧げたであろう「Everynight」
彼らの良さはアルバムを一応理解していたが、ライブを通じて更に評価が上がった
次に会えるのはいつか分からない
けど凄いカッコいいロックを鳴らすのは確信できる

セトリ
OVER
SKY
Light Off 
Say no more
Merry go round
Dancing all night my friends
Tonbo
Feel like shift today
Blink
Highway
Everynight

・633
Age Factoryが終わると再び見覚えのあるセットが出てくるわけだが、よく見るとステージには幕
色んな意味で注目されていた633が遂にステージへ

転換が15分足らずで終わるあまりの速さに驚きつつ、ステージにメンバーがしれっと登場すると拍手も発生
専用のオープニング映像を終えるとSOFT CREAM(Vo. & Gt.)がカタコト気味に挨拶し、テナーの初期を彷彿させる「Drink Up」を鳴らし幕にはアニメーションが流れ始めるが、ステージにはひなっちが使用しているアンプが思い切り見え、特徴的なドラムセットもシンペイのもの
つまりはバレバレ(笑)(しかしこのブログではホリエ達の身体にソーセージ達が憑依したものとして執筆を続ける)
オープニングからランタンを振り回していたLANTERN SMILE(Ba.)は下手を動き回るので、幕の意味はあってないようなもの

しかも「Sweet Rain」や「Girls Don't Cry」では映像も投影されないので、幕はあってないようなものだが、DRUNK MONKEY(Dr.)が刻むツービートはまさにパンク
テナーではそうした曲は「SING」や「Last Stargazer」くらいだし、ELLEGARDENがシーンに出てきた時もこんな感じだったのだろう
何も考えずに楽しめる2000年代のシーンがKT Zeppにリバイバルしたかのよう

初ライブなので、Soft Creamは各々に自己紹介させるが、

LANTERN SMILE→ダース・ベイダーみたいな声(笑)で山登りしまくる(笑)
DRUNK MONKEY→酔い潰れたような声(笑)
SMOKE(Gt.)→誰だお前(笑)のようなテンションの高さ(笑)

とやはり動かせば動かすほど、ボロが出るしDRUNK MONKEYに至ってはボイスチェンジャーが機能せず、憑依された人物の声が出る事態(笑)
参加者には正体がバレバレなのか、終始笑いが起こりまくっていた

来年2月に日本に来日するRed Hot Chili Peppersを意識したと思われるダブなリズムからSMOKEの解放感あるギターが放たれる「Aurora」からは再び映像が用いられていくが、スカのリズムも取り入れられた「One Summer Day」では可愛らしいアニメーションが使用され、来年の夏が待ち遠しくなる
633がフェスに出演するかはともかくとして

R&Bとギターロックのいいとこ取りをした「Rooftop Party」は一瞬、「GUNSHIPRIDER(ネットでは「真空」と称されることもある隠れた人気曲)」の間奏を思わせる部分もあったりするが、DRUNK MONKEYが力強く16分のビートを刻む「The Great Escape」はまさにロックの王道
同時に昔のテナーも思い出す
「KILLER TUNE〜」や「DISCOGRAPHY」がまさにこんな感じだったし

そんな633の歌詞はほぼ英語歌詞
Hi-STANDARD、dustboxなどを彷彿させ、難しいことを考えずな音楽と向き合えるが、

「1人1人の願いが少しでも多くの人に届くように」

と「Million」では日本語詞も活用
しかもSoft Creamは憑依元のホリエもほとんど行わなかったスタンドマイクで
音源では鍵盤も使用されていたが、その音も同期で
ソーセージの化身たちは憑依元が出来ないことも平然と行ってしまうようだ

そして元々9曲しかないのでLANTANのバッキバキなベースが支配する「Radio Song」であっという間にラストに
そこで流れる映像にはどこか郷愁も感じたけど、

「アンコールやる曲ないよ」

と話すように持ち曲は消化

しかし、

「ストレイテナーのカバーを」

と最後に演奏されたのは、まさかの「Bounder Adventure」
まだホリエとシンペイの2人で活動していたインディーズの頃の楽曲だった
テナマニでも演奏されなかった知る人ぞ知る曲
突然インディーズ時代の曲を演奏するなんてほぼなかったことである

ひょっとしたら来年、テナーは何かを仕掛けるのかもしれない
その仕掛けをホリエ達はソーセージ達に託したとしたら…
633を我々は注意深く見つめる必要がある
とんでもない新人バンドの始まり
ツアーの終わりに見えるものは一体!?

セトリ
Drink Up
Sweet Rain
Girls Don't Cry
Aurora
One Summer Day
Rooftop Party
The Great Escape
Million
Radio
Bounder Adventure(ストレイテナーのカバー)





※前回見たストレイテナーのワンマンのレポ