コロナの影響によって音楽フェスが次々に中止に追い込まれる悲惨な状況になっている中、この状況下でも自主企画を発表したり秋には「Patrick Vegee」のツアーを控えたりとやっぱり止まる気配が全くないユニゾン
2月や3月に行われたZeppツアー、続けて行われた「Spring Spring Spring」のリバイバルツアー、7月のFC限定配信ライブに続き今度のツアーは「CIDER ROAD」のリリースツアーをリバイバル
自分が初めて参加したユニゾンのツアーをもう1度体験できるなんて思いもしなかった
ユニゾンのライブは他のアーティストよりも規制が厳しくCOCOAの起動確認から検温、アルコール消毒、セルフチケットもぎりと過剰なくらい確認を行う
そうした手続きを終えた上でようやく会場入りするが、5月に見たときと対照的に場内が非常に静かになっている
ここまで静寂に包まれているのはヒトリエのワンマン以来だが、ツアー開始前にTwitterに公示されたメンバーからのお願いも聞いていると思われる(「会話は可能な限り控えてください」と強い口調で書かれている)
それでも会話する方は一部いたが
VINTAGE ROCKの若林氏が諸注意事項を説明した上で暗点し、イズミカワソラの「絵の具」が流れる中でTKO(Dr.)、いつものように奇妙な歩きを見せながら田淵(Ba.)、そしてステージ中央にいってお辞儀をする斎藤
ユニゾンではお馴染みのオープニングであるが、SEがかき消されるように同期が大きくなっていくと現れるのは「CIDER ROAD」のオープニングナンバーである「to the CIDER ROAD」
自分がライブで初めて聞いたユニゾンの楽曲はこの曲だ
あの時斎藤は、
「ようこそ」
と呟いて始めたが、流石に同じオープニングは再現されないし、自分の目の前にいたザ50回転ズのメンバーらしき人間もいない(NHKホール3階で見ていたが本当にそのような人間がいた)
代わりにあるのは「Populous Populous」に次いでユニゾンの中でポップなこのアルバムに相応しい水色に染まったツアーのロゴ
「あのツアーが蘇るんだ!!」という興奮を呼び起こしてしまう
8年前に参加したツアーの記憶が若干残っているのでアルバムの流れを引き継ぐような「ため息 shooting the MOON」でメンバーのソロパートを堪能し、「cody beats」に流れる流れは懐かしさすらある
当時の自分はライブレポは書いてないし、1人でライブに参加するのが不安で友人と参加していた
つまりはライブ初心者で純粋に楽しんでいたのだが、
「その声がする方へ 僕は歩き出す 君の待つ街へ」
の意味は今も昔もずっと変わってない
「君の街に来たよ」というユニゾンからの挨拶だから
ツアー当時はというと最初のセクションで斎藤は田淵に、
「君はUNISON SQUARE GARDENのボーカルとしての自覚が足りない」
なんて弄られて、
「ルールはないので自由に楽しんてください!!」
と斎藤が話していたが、このリバイバルツアーではこのツアーの概要を簡単に説明
当時のユニゾンは今のユニゾンと異なり2時間近くライブしていたので、スパッと説明を終わらせるが、カップリングでありながら非常に人気がある「ラブソングは突然に〜」はこのツアーでも普通に演奏されていた
昔見たときは「普通にカップリングやるの!?」なんて驚いていたが、以降もアルバムのレコ発でカップリングは普通にやるし、シングルのレコ発ならばカップリングツアーには及ばないもののカップリング曲を連打することも珍しくない
きっと昔からアルバムのレコ発でも普通にやっていたのだろう
変わらないと言えば田淵のアグレッシブなパフォーマンスも変わらないわけでストレートなロックこと「セレナーデがとまらない」で田淵が暴れまくる中、田淵とTKOからなるグルーヴで踊らせる「Ms.サンデイ」の前のセッションは斎藤もセッションに加わるようになり、8年前と変化
当時のツアーを再現しつつも現状維持ではなく進化を見せている
「Miss.サンディ」に続くのは「カウンターアイデンティティ」、「オリオンをなぞる」といった初期のアニメタイアップソング
「カウンターアイデンティティ」はここ数年そこまで演奏されてなかったので聞くのはかなり久々だが、サビの雄叫びをTKOが叫んでいたのは知らなかったので驚き
並びに「オリオンをなぞる」はツアー当時はユニゾンの代表曲だったので「ここでやるの!?」と驚いた記憶がある
しかし終盤でどういうわけか口笛が聞こえてきた
あれは自分の空耳だったのだろうか
「「CIDER ROAD」は僕たちの中でも特に足し算足し算を行った作品で準備するときに吐き気がしたのですが、いざツアーが始まると楽しい(笑)。不思議ですね。」
と「CIDER ROAD」について斎藤は解説していくが、
「このツアーのセットリストは今となっては考えられないものになってます(笑)」
と自虐をはじめ、
「ここからは押しの強いバラードが3曲続きますのでリラックスしながら聞いてください(笑)」
と話したようにここからは3曲続けてバラード
ちなみに当時のツアーではTKOがこの辺りで、
「職業柄、踏切の音を聞くとビートを刻んでしまう(笑)」
と話した直後に、斎藤が踏切のメロディーを鳴らし始めたり、田淵が
「俺「あのグルーヴ〜」がとか言う人大嫌いなんです!!」
と話していた記憶がある(映像作品ではMCはごっそりカットされているため確実ではない)
そんなバラードコーナーの1曲目は昨年の人気投票ではワースト2位となってしまった「光のどけき春の日」
「CIDER ROAD」を相当聴き込んでいた自分からすればあの結果は信じられなかったし、4年前のCLUB CITTAでやっていたこともすっかり忘れていたが、現場で聞くと暖かさというよりはブルージーな印象だ
この時期のユニゾンは今みたいにテクニカルな要素はそこまでなく、キャッチーな成分が強かった
それだけに「Catcher In The Sky」の変化に驚くことになるのだが
照明が夕暮れを連想させる演出が施されたのは少ないリフで聞かせる「いつかの少年」
演奏そのものが「CIDER ROAD」ツアー以来なので今回のセットリストでは最もブランクがある1曲である
当時のツアーに参加されてなかった方の大半がこの曲を今回初めて聞いていると思われるが、今思えばこれも田淵のエゴが出た曲だろう
「さわれない歌」を大切にしているのは有名な話だが、
「ノートに書いた文字の一つ一つが ふわふわリ飛んで雲の上」
なんてフレーズはクリエイターだから描かれるものだろう
このツアーが終わったら封印されそうな予感がしてしまうのが怖いけど
鍵盤も取り入れたカラフルなサウンドが目立つ「クロスハート1号線〜」を経て、「箱庭ロック・ショー」から再びアッパーなモードに回帰していくが、ライブの中盤で「フルカラープログラム」が盛り込まれたツアーなんてそう多くないだろう
インディーズ時代の名曲でありながら今でも演奏されまくっているがほとんど序盤なのでこの位置で演奏されるのは非常にイレギュラーなのだ
加えてこの日強調されていたのが、
「モノクロでは説明できない…完全無欠のロックンロールを!!」
の部分
この曲の代名詞と言えるのは、
「ふざけろ!「いつか終わる 悲しみは」どうか忘れないでよ」
ラストのフレーズ以上にあのフレーズを強調した意味
それはおそらく観客がいてこそライブはモノクロからカラフルになる
ここのところ、フェスの中止が増えてきて中には
「最初から無観客でやれ!」
なんて横暴な意見も見える
そんな乱暴な台詞を吐いている人は最初からフェスに興味ない、ライブをやらざるを得ない事情を把握してないと思うがそんな人々へのアンサーがこのフレーズなのだろう
SUPER BEAVERの渋谷は、
「あなたがいないとライブは成り立たないんです!」
と今年のライブで話していた
このフレーズを強調したのは渋谷のMCとニアリーイコールだと思われる
当時のライブでは「ガリレオのショーケース」の間奏で行われていたTKOのドラムソロは「フルカラープログラム」の直後
エイトビートを中心にしたソロであったが、斎藤や田淵が鳴らす音はどう考えてもあの曲しか考えられず、予想通り「場違いハミングバード」にスイッチするが、ここでTKOは相当テンションが上がっていたのかイントロで叫びまくり(笑)
あそこまで叫ぶTKOは見たことがない
「ここからは終わりそうで終わらない終わる終わる詐欺のコーナーです(笑)」
と「銀魂かよ!!」とツッコミたくなる言葉を告げるが、
「当時のツアーのMCも再現します」
から
「踊れる?」
と煽り、ホーンも加えた派手なサウンドが楽しくロゴも虹色に輝いた「like coffeeのおまじない」から終盤
最後に演奏されたり、ラスト直前に演奏されたりする「Crazy Birthday」では田淵がベースを銃のように見立てて客席に向かって放ちつつ当時と同じく
「おしまい…じゃない!!」
が再現されて「kid, I like quartet」に突入
この曲で夜桜四重奏とタイアップしたことが後に「桜のあと〜」や「ノンフィクションコンパス」でのコラボに繋がる(「桜のあと〜」は当時発表されてなく自主企画で発表されてからロッキンを皮切りに演奏されていくことになる)わけだが、
「終わらない鬼ごっこは誰かの合図で繰り返す」
は緊急事態宣言が何度も繰り返す国内を皮肉っているかのよう
同じことしか言って来ずにひたすらやったフリ
この歌詞に登場する「誰か」そのものが今の国のトップな訳でASIAN KUNG-FU GENERATIONの「ローリングストーン」のフレーズを借りれば「あんな大人」
いつまで茶番を繰り返すのだろう
この日放送されたニュース番組によると総裁選を無視して解散総選挙を目論んでいるとのことだが
そして当時のユニゾンのヒット曲であった「リニアブルーを聴きながら」から最後は「シャンデリア・ワルツ」
この時、斎藤は
「譲れないものもある!!」
の部分を強調していた
ユニゾンはMCで意見を発することなどはしない
しかしユニゾンにとって譲れないものとは明白で、今年普通にライブをやりまくっていることがそれを証明している
ライフがやりにくくなっている環境ではあるが自分たちがやることは変わらないと伝えているかのようだった
すぐにアンコールで戻ってくると、
斎藤「またライブし辛い世の中になっちゃってライブやると悪者みたいにされてしまう…。「ライブやっちゃ駄目!!」って言われたらライブやらないし、僕たちはライブを出来る権限は持ってない。秋から最新アルバムのツアー控えているけど出来るか分からない…。けど今日来れなかった方や行ってない地方で見たい方がいるだろうから僕らは普通にライブをやっていくつもりです」
と伝えた
ワンマンライブこそ開催できているもののフェスはどんどん中止に
オリンピックやパラリンピックをやっている以上、フェスを中止にされることに理解は苦しむしやったらやったで批判される
もうこれは地獄のような状況だ
でもHEY-SMITHやSUPER BEAVERはそんな中でもライブをやりまくってるしユニゾンもストップを言われるまでは動き続けるだろう
UVERworldもアリーナワンマンを控え、桑田佳祐もツアーを、GLAYはアリーナツアーを控えている
ライブを見たい方がいるなら動く
そしてエンターテインメントは止めてはならない
音楽が鳴り止んではならないのだから
「何も知らないやつに 君のこと決め付けられてたまるか」
が心に染みる美しい「君はともだち」、当時のユニゾンの定番であり、何故か途中で田淵が斎藤のギターを弾き始め(笑)、
「今 宇宙に乗っかって ぐるぐる回るんだ」
「ほら 今僕の目の前で何かが始まって 乗り遅れちゃだめだよって言ったんだ」
を3人でコーラスした「ライドオンタイム」から最後「ガリレオのショーケース」で田淵はマイクスタンドを遠方に持っていき、寝そべりながらベースを弾く奇妙な景色を見せつつもTKOがフードを被りだせばやっぱり視線はTKOへ
かつてのようにステージのセットを一周することはなかったもののやはり鮮烈なインパクトを残してステージを去っていった
この日田淵はやたらカメラを意識したような動きが目立った
それはこのライブを映像作品にする布石かも知れない
当時のライブと大きく違うのは発声できないことや斎藤以外はMCをしてないこと
このツアーが行われた2013年の後半辺りから今のようなMCはほとんどしないライブに変化していった
当時のアンコールで田淵は、
「君が信じていたロックバンドは間違えてなかったってことだぜ!!」
と口にしている
あれから8年、社会情勢は大きく変わってしまったが、ユニゾンはかっこいいロックバンドのままでいる
それどころかシーンを背負う存在になった
決して無敵ではない
でもユニゾンがいればライブの灯が消えることはない
秋からの全国ツアー、無事に出来るかは神のみぞ知る
でも音楽好きとしてはユニゾンのライブを生で聞きたい
ふざけろ!「いつか終わる 悲しみは」を信じて
セトリ
to the CIDER ROAD
ため息 shooting the MOON
cody beats
ラブソングは突然に 〜What is the name of that mystery?〜
セレナーデが止まらない
Miss.サンディ
カウンターアイデンティティ
オリオンをなぞる
光のどけき春の日
いつかの少年
クロスハート1号線(advantage in a long time)
箱庭ロック•ショー
フルカラープログラム
場違いハミングバード
like coffeeのおまじない
crazy birthday
kid, I like quartet
リニアブルーを聴きながら
シャンデリア・ワルツ
(Encore)
君はともだち
ライドオンタイム
ガリレオのショーケース