あなたがあの時 | 上田 真一郎 犬のためのヒーリングデバイス CS60

上田 真一郎 犬のためのヒーリングデバイス CS60

   大切なことは全部犬が教えてくれた
ペットと飼い主さんを「言葉」でつなぐコミュニケーションを。

沖縄慰霊の日でした。

 

沖縄戦から75年。

最後の激戦地となった糸満市で沖縄全戦没者

追悼式が行われ、高校生が「平和の詩」を朗

読しました。

 

数日前のことです。

沖縄に移住した写真学校時代のクラスメート

からメールをもらいました。

 

クラスメートとは言っても、僕は四十にして

暗室技術を学ぶために写真学校へ通ったので

彼女は当時、なんと半分の二十歳の学生さん

でした。

 

それが今や二人のお子さんの母親で、四十歳

になったと言うから驚きです。

 

すっかり自分のことは棚に上げていますが、

 

 赤いチャンチャンコは着ませんが何か?

 

メールの内容は、最近お子さんが学校で戦時

中の話を聞くようになり、とても怖れている

とのこと。

 

東京出身の彼女は学生時代に戦争に関して語

られるような機会がなかったらしく、どの様

に伝えていけばいいのかわからなくなったそ

うです。

 

そこで、広島で生まれ育った僕は、当時学校

や親からどんな風に戦争や原爆のことを語ら

れたのか知りたいと言う内容でした。

 

その話を聞いて、きちんと恐怖を感じること

の出来る子供に育っていて素晴らしいですね

、と率直な気持ちを伝えました。

 

昨今ゲームやネットの情報過多の世情に子供

達の無垢な想像力は失われつつあるのかと勝

手に憂いていた自分を恥じつつ。

 

原爆のことを如何に語り継がれたかは割愛し

ますが、怖いと感じる感性を大切に守りなが

らゆっくりと、赦すということも教えて上げ

てくださいね、とお母さんにはお願いしまし

た。

 

そんな話をメールで交わしての昨日の沖縄慰

霊の日。

 

そこで朗読された「平和の詩」に心震えるも

のがあり、コロナだ夜の街関連だのフレーズ

が飛び交う中、心静かに何度も読み返したい

詩なので残しておこうと思いました。

 

「あなたがあの時」

沖縄県立首里高校3年 高良朱香音さん

「懐中電灯を消してください」
一つ、また一つ光が消えていく
真っ暗になったその場所は
まだ昼間だというのに
あまりにも暗い
少し湿った空気を感じながら
私はあの時を想像する

あなたがまだ一人で歩けなかったあの時
あなたの兄は人を殺すことを習った
あなたの姉は学校へ行けなくなった

あなたが走れるようになったあの時
あなたが駆け回るはずだった野原は
真っ赤っか 友だちなんて誰もいない

あなたが青春を奪われたあの時
あなたはもうボロボロ
家族もいない 食べ物もない
ただ真っ暗なこの壕の中で
あなたの見た光は、幻となって消えた。

「はい、ではつけていいですよ」
一つ、また一つ光が増えていく
照らされたその場所は
もう真っ暗ではないというのに
あまりにも暗い
体中にじんわりとかく汗を感じながら
私はあの時を想像する

あなたが声を上げて泣かなかったあの時
あなたの母はあなたを殺さずに済んだ
あなたは生き延びた

あなたが少女に白旗を持たせたあの時
彼女は真っ直ぐに旗を掲げた
少女は助かった

ありがとう

あなたがあの時
あの人を助けてくれたおかげで
私は今 ここにいる

あなたがあの時
前を見続けてくれたおかげで
この島は今 ここにある

あなたがあの時
勇気を振り絞って語ってくれたおかげで
私たちは 知った
永遠に解かれることのない戦争の呪いを
決して失われてはいけない平和の尊さを

ありがとう

「頭、気をつけてね」
外の光が私を包む
真っ暗闇のあの中で
あなたが見つめた希望の光
私は消さない 消させない
梅雨晴れの午後の光を感じながら
私は平和な世界を創造する

あなたがあの時
私を見つめたまっすぐな視線
未来に向けた穏やかな横顔を
私は忘れない
平和を求める仲間として

 

 

 

また熱い夏がやってきます。

多くの人たちが礎となって守り遺してくれた

この国にも感謝して生きていかなければとの

想いを強く刻んでいます。