今日もまた、広場のクエストボードを2人で眺めていると、背後から軽い声が飛んだ。
「よう、お2人さん。最近もう、“並んでるのが標準装備”みたいになってない?」
振り向くと、ミズキが腕を組んで立っていた。
「いい傾向だよ、それ。他人から見て違和感ないって、実はけっこう大事だからさ」
セイは一瞬だけ、言葉にできない感覚を覚えた。
──見られても、否定されなかった。
それだけで、胸の奥がわずかに緩むのを感じる。
「なになに、クエスト見てたの?」
ミズキが画面を覗き込み、指を止めた。
「お、これいいじゃん。期間“当日限り”、難易度低めだけど冒険系」
広場の端にあるクエストボードの前で、3人は自然と横に並んでいた。
「えーっと……これ」
セツナが指を止める。
「調合素材の回収。装備条件なし、危険度低」
ミズキは軽くうなずく。
「初心者用だね。今日中に終わるやつ」
セイは少し考えてから言った。
「次に出ているクエスト、これが前提条件になっています」
「だよね」
セツナは納得したようにうなずく。
「ねえねえ、お2人さん。今回、私とパーティー組んでちょっとやってみない?」
「えっ!?」
「セツナ、まだこういうクエスト参加したことないでしょ?いきなり本格的なのは初心者には厳しいだろうからさ。私と組んで1回経験してみるといいと思うんだけど」
「うーん……そうだな」
セツナはちらりとセイを見る。
「セイは、どうしたい?」
「僕ですか?」
「うん。私まだこっちの世界に来始めたばっかだし、正直こういうクエスト、よくわからなくてさ。セイが一緒に参加してくれるなら、私もちょっとやってみたいなって」
セイは少し考えてから、静かに答えた。
「そうですね。僕もパーティーを組んでのクエストは未経験です。1度挑戦してみるのも、いいかもしれません」
「よっしゃ、そうこなくっちゃ」
ミズキが手を打つ。
「それじゃ、初の3人パーティーでいってみよ」
「うん、ミズキよろしくね。セイもよろしく」
「はい。ミズキさん、セツナさん、よろしくお願いします」
「それじゃあ――とりあえず、行ってみよっか」
(第23話に続く)