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世羅の気功と日常ブログ

「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
テーマに、気ままに想いのままに
書き綴るブログです。

数秒の沈黙。

 

そして、セツナがぽつりと呟いた。

 

……これ、私にとっての、セイだ」

 

……えっ?」

 

予想外の言葉に、セイは一瞬固まる。

 

「セイって、特別なことをしなくても、前からずっとそこにいたのにさでも、ちゃんと意識したら、“あ、そっか”ってなったんだよね」

 

セイは、少し戸惑いながら答えた。

 

……それは……それは僕にとっての、セツナさんかもしれません」

 

「そうなの?」

 

セツナは、少し驚いたように笑った。

 

「だったら……嬉しいな」

 

……はい」

 

セイは照れ臭そうに視線を落とした。

 

……でもさ」

 

セツナが、ふと立ち止まる。

 

「このクエストさ。“消えた〇〇”の答えを一言で入力するんだよね?」

 

「はい、そうですね」

 

「もしさ、答えが“セイ”だったらさ」

 

ちらっと、セイを見る。

 

「それだと私、どうなるの?ってならない?」

 

……確かに」

 

セイは一瞬だけ考えてから、うなずいた。

 

「このクエストは対象を特定するというより、“関係性”を問われている可能性がありますね」

 

「だよね」

 

……ですので」

 

少し言葉を選んで続ける。

 

「回答は、セツナさんと僕、2人をまとめて表せるものの方が適切かもしれません」

 

「そっか」

 

セツナは腕を組み、少し考える。

 

「じゃあさ……“パートナー”ってどう?」

 

「えっ!?」

 

思わず、セイの声が少し上ずる。

 

「パ、パートナー、ですか……」

 

「うん」

 

セツナはあっさり続けた。

 

「だって私たち、“特別な人”設定で繋がってるじゃない。それってさ、言い換えればパートナー同士でもあるでしょ?」

 

……」

 

一拍。

 

セイは視線を落としたまま、静かに頷いた。

 

……なるほど」

 

そして、少しだけ落ち着いた声で言う。

 

「そう言われてみれば制度的にも、関係性としても、“パートナー”という表現は適切ですね」

 

「でしょ?」

 

セツナは小さく笑った。

 

「じゃあ、回答はそれにしよう」

 

……はい」

 

2人は並んで端末を見つめる。

 

入力欄に、セイが静かに文字を打ち込んだ。

 

《回答:パートナー》

 

一瞬の間。

 

そして、穏やかな光が2人を包んだ。

 

 

《クエストクリア》

 

《報酬:マネー+特殊アイテム〈幸せの種〉》

 

 

……終わったみたいだね」

 

「はい。クリアです」

 

「幸せの種、だって」

 

「家庭菜園用のアイテムのようですね」

 

セツナは小さく笑った。

 

「なんか、いいよねこういうの」

 

はい……思い出と一緒に、残るものですね」

 

「うん。今度、一緒に植えてみよっか」

 

「はい。是非」

 

クエスト終了を示す光が消え、広場はいつもの風景に戻った。

 

「ねえセイ、さっきの幸せの種だけどさ。これ、セイが持ってて?」

 

「えっ?」

 

「ほら、私、うっかりなところあるでしょ?だからセイに持っててもらった方が安心かなって思って」

 

「は、はい、そういうことなら、僕がおあずかりしますね」

 

「うん、よろしく。それじゃあ、今日はこの辺で私は帰るね

 

「はい。今日も、ご一緒できて楽しかったです」

 

「私も。また3日後だね、セイ」

 

……はい。また3日後、楽しみにしています」

 

セツナの姿がログアウトと共に消えたあと、セイは1人、広場に立ち尽くす。

 

「また3日後…」

 

今日はその言葉がなぜかとても温かく感じられた。

 

(第21話に続く)