■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第252話) | 世羅の気功と日常ブログ

世羅の気功と日常ブログ

「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
テーマに、気ままに想いのままに
書き綴るブログです。

実際にセツナを目にすると、待っている間に感じていた落ち着かなさが、いつの間にか消えうせ、どこかほっとしている自分にセイは気が付いた。

 

その時だった。

 

セツナが肩からコートを外す。

 

そして自然な動作でクローゼットへ向かった。

 

扉を開き、自分のスペースへコートを掛ける。

 

以前は置き場所に困っていた。

 

だからクローゼットを拡張した。

 

ただ、それだけのことだったはずだ。

 

だが彼女は迷いなくコートを掛ける。

 

まるで最初からそこにある場所のように。

 

視線が、ほんの一瞬だけその光景に留まる。

 

この家は、自分ひとりのためのものではない。

 

運営から与えられた共有拠点。

 

自分と彼女のための空間。

 

そう考えた瞬間、胸の奥がわずかに熱を帯びた。

 

「どうしたの?」

 

不意に声を掛けられ、セイは自然に視線を逸らす。

 

「いえ、何でもありません」

 

「?」

 

セツナは少し不思議そうな顔をしたが、すぐに気にするのをやめた。

 

(第253話に続く)