セイが、クッキー用の材料をかごに入れた直後、視線が隣の棚へ移る。
簡易包装用の袋。
小さなリボン。
透明なラッピング資材。
思考が一瞬だけ停止する。
(……)
焼き菓子は保存が利く。
保存するなら包装が必要だ。
衛生面を考えても、その方が望ましい。
(よし。合理的だ)
そう判断したセイは、迷いなく包装資材も手に取った。
そしてそのまま会計へ向かう。
帰路につきながら、頭の中ではすでに献立の組み立てが始まっていた。
チキン。
副菜。
スープ。
ケーキ。
そしてクッキー。
どの順番で作れば効率がいいか、時間配分はどうするか、考えるべきことは多い。
だからだろう。
なぜか少しだけ足取りが軽くなっていることに、その時のセイは気づいていなかった。
(第239話に続く)