夜。
ベッドに入る。
静けさが、昼間よりもはっきりと輪郭を持っていた。
今日のことを、なんとなく思い返す。
読書。
筋トレ。
いつも通りの日課。
大きく乱れたわけではない。
だが、その中に、ひとつだけ引っかかるものがあった。
通知音と共に届いた彼女からのメッセージ。
短い文面だったが、それでも、忙しい中で送ってきたのだと分かる。
その事実だけが、わずかに胸の奥を温める。
(……それでいい)
そこまで思って、セイは思考をそこで切り離した。
読書の続き。
筋トレの回数。
水やりの時間。
明日の予定を順に頭の中でなぞる。
そうしているうちに、さっきまで胸の奥に残っていた温度も、少しずつ輪郭を失っていった。
やがて意識がゆっくりと遠のき、セイはそっと目を閉じた。
(第199話に続く)