朝、目が覚める。
いつも通り、顔を洗い、着替えを済ませる。
庭に出て、『幸せの種』とプチトマトを確認する。
プチトマトは昨日よりも伸びているが『幸せの種』に変化はない。
だが、それを確認すること自体が、すでに日課として身体に馴染んでいた。
水をやりながら、ふと空を見上げる。
静かだ。
(……今日も、いない)
その事実を、わざわざ言葉にすることはない。
けれど、心のどこかにその言葉がある。
部屋に戻り、朝食の準備をする。
包丁の音、火にかける音、湯気。
すべてが昨日と同じで、少しだけ違う。
ルカが足元で待っている。
視線を落とすと、目が合う。
「……すぐにできるよ」
セイはルカに声をかけ、また視線を手元に戻す。
(第195話に続く)