心配げなセツナをよそに、セイはもう1度、イルミネーションを見る。
光は変わらず、穏やかで、美しい。
それなのに、胸の奥が、きゅっと縮む。
心臓の鼓動が、さっきよりも近く感じられる。
耳の奥で、自分の脈拍だけが強調されるような感覚。
(……何だ、これは)
理由が分からない。
怖い記憶がよみがえったわけでもない。
嫌なことを考えた覚えもない。
ただ、目に入る光の連なりに、胸の内側がざわざわと落ち着かなくなる。
「セイ、本当に大丈夫?」
今度は、少し近い距離でセツナが言った。
その声に、心配の色が混じっている。
「……少し、ふらっとしただけです」
そう答えながらも、セイは自分の状態をうまく掴めずにいた。
立っていられないほどではない。
でも、このままここにいるのは、なぜか落ち着かない。
そしてもう1度、イルミネーションへ視線を向けた瞬間――
胸の奥が、また小さくざわついた。
(第166話に続く)