■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第158話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
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書き綴るブログです。

外に出ると、冬の澄んだ空気が頬に触れる。


吐く息は白く、空は高く静かだった。

 

歩き出してしばらくすると、セツナが隣で言う。

 

「まずはマーケットだね」

 

「はい。ここから少し歩いたところです」

 

セイは端末をしまい、前を見据える。

 

土曜日とはいえ、まだ昼前だ。


人は多いだろうが、混雑のピークには少し早い。

 

そのことが、セイの中で小さな安心につながっていた。

 

並んで歩く足音が、静かな通りに重なる。

 

店先には、冬仕様の飾りつけが増えていた。


白い灯りや、小さなリース。


ガラス越しの暖かな色が、通りをやわらかく彩っている。

 

セツナはふと立ち止まり、ショーウィンドウを眺めた。

 

「なんか、この辺り歩いてるだけでも楽しいね」

 

……そうですね」

 

セイも足を止め、同じ方向へ視線を向ける。

 

何をするわけでもない。


ただ並んで歩いているだけなのに、不思議と時間が穏やかに流れていく。

 

少し進むにつれて、人通りが増え始める。

 

遠くから、賑やかな話し声や、焼き物の音が微かに聞こえてきた。

 

……そろそろですね」

 

セイが前方へ視線を向ける。

 

通りの先には、屋台の灯りが並び始めていた。

 

甘く香ばしい匂いが、風に乗って流れてくる。

 

「わ、いい匂い」

 

セツナが小さく笑う。

 

2人は自然と歩幅を少しだけ早めた。

 

(第159話に続く)