1歩、外に足を踏み出すと、空気が頬を刺すように冷たかった。
セイは片手で、ルカの入ったかごを揺らさないように持つ。
中から、ルカが縁に前足をかけて外を覗いていた。
きょろきょろと、落ち着きなく視線を動かしている。
「ルカ、あまり身を乗り出したら危ないぞ」
「うん!」
返事だけは素直だ。
だが視線は忙しいまま。
その様子に、セツナがくすっと笑う。
「ほんとに楽しそうだね」
「……そうですね」
歩きながら、ルカは何度も外を見上げる。
「わあ……あっち、ひかってる」
「……そうだね」
そのまま、目的の店へ入る。
店内は、外よりも少し暖かかった。
照明は明るく、防寒具やウェアが整然と並んでいる。
「わあ……すごい」
セツナが小さく声を漏らす。
セイは少し後ろを歩きながら、周囲を一通り確認する。
「ウェアは、あちらですね」
指し示すと、セツナは頷いてそちらに向かう。
そして、迷うように棚を眺める彼女の後ろ姿を、セイは静かに見守っていた。
(第135話に続く)