夜、部屋に戻ると、外の寒さが少しだけ壁の向こうに残っている気がした。
ルカが小さな体で丸まっているのを見て、胸の奥がふわりと温かくなる。
「ルカ……今日、何も用意してなくて悪いんだけど、君、何か……食べる?」
セイは声をかける。
ルカは静かに見上げて、軽く頷いた。
「たべなくても平気だよ。でも……一緒にたべるのは、すき」
セイは微かに笑いながら「……そうか」とつぶやく。
ふと、部屋の隅にあるふわふわの毛布に目をやる。
「寝る場所は……ここでいいのかな?」
ルカは小さくうなずく。
「ここでねる~。でも、セイくんと一緒も、すき」
セイはぎこちなく頷く。
まだ敬語が抜けきれず、少し間が空く。
「……そっか。じゃあ、ここにしようか」
ルカは毛布の上で丸くなり、体の小さな温もりだけが伝わってくる。
(……ああ、安心するな)
「そういえば……君、家、いるのかな」
軽い気持ちで聞いたつもりが、言葉にすると少し心配になった。
ルカは目を輝かせ、にっこり笑う。
「ルカのおうち?うれしいな」
セイはほんの少し息をついて微笑む。
(……よかった。喜んでくれてる)
「…そっか。それじゃ明日、一緒にルカの家を見てみようか?」
「うん、うれしい~」
その後、用事を片付けて部屋に戻ると、ルカは毛布の上で小さく丸まって眠っていた。
体の小さなぬくもりが、静かにセイの胸の奥に残る。
ゆっくり目を閉じると、部屋の温かさと、互いの存在感が夜を優しく包み込んだ。
(……今日は、これでいい)
言葉にするまでもなく、胸の奥がほっと満たされ、温もりが消えないまま静かに眠りに落ちていった。
(第101話に続く)