雪を集め、丸め、転がす。
作業は単純だが、2人でやると不思議と楽しい。
「ねぇセイ、これ、どれくらいの大きさがいいかな?」
「……そのくらいなら、安定すると思います」
「ほんと?じゃあ、このくらいの大きさで作るね」
転がすたびに雪玉は少しずつ大きくなり、セツナはそれを見て満足そうに頷いた。
次は表情作り。
淡く光る雪を使うと、雪だるまの顔がほんのり輝く。
「これ、かわいくない?」
「はい。……とても」
「でしょ?私もそう思う」
満足そうにそう言いながらセツナが笑う。
そして2人で作ったベースの雪だるまに、小枝を腕に見立て、簡単な装飾を整える。
完璧ではないが、どこか愛嬌のある雪だるまが完成した。
「……完成、だね」
「はい。写真を撮りましょうか」
セイが端末を構え、角度を調整する。
パシャッ。
提出用の写真を撮り終えたあと、セイは少し指をためらわせ、こう言った。
「セツナさん、そのまま……少し右に寄っていただけますか」
「え、私も入るの?」
「……はい。共同制作の記念、ですので……」
そう言われて、少し照れたように笑いながら、セツナが雪だるまの横に並ぶ。
ファインダー越しに見る彼女の笑顔に、セイの手元がわずかに揺れた。
シャッター音が静かに、けれどセイの耳には大きく響いた。
「じゃあ、今度は私がセイを撮ってあげる」
「えっ!?僕もですか!?」
「当たり前でしょ。せっかく2人で作ったんだから」
「……では、お願いします」
セツナにレンズを向けられ、セイはどこを見ていいか分からず、少しだけ姿勢を固くした。
さらに数枚のシャッター音が響いたあと、セツナがいたずらっぽく笑って提案した。
「ねぇ、セイ。せっかくだからさ。2人で一緒に撮らない?」
「……2人で、ですか」
「そう、自撮り。ほら、並んで」
雪だるまを挟んで、2人が並ぶ。
セイが腕を伸ばして端末を構えるが、画面を確認すると、どうしても2人の間に不自然な距離が空いてしまう。
「ちょっとセイ。もう少しこっちに寄らないと、画面に入り切らないよ?」
セツナが当然のように、肩が触れそうな距離まで1歩踏み込んできた。
「えっ!?ですが、セツナさんに、その、近すぎではないかと……」
「もう、そんなこと言ってたら、雪だるまが入らないじゃん」
「は……はい……では、その、失礼します……」
心臓の鼓動が、システム的なエラーではないかと疑うほど速くなる。
隣から伝わる彼女の体温に、セイは息を止めるようにしてシャッターを押した。
パシャッ。
画面の中には、少し強張った顔の自分と、それとは対照的に、心から楽しそうに笑うセツナの姿が収まっていた。
(第81話に続く)