■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第80話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
テーマに、気ままに想いのままに
書き綴るブログです。

雪を集め、丸め、転がす。


作業は単純だが、2人でやると不思議と楽しい。

 

「ねぇセイ、これ、どれくらいの大きさがいいかな?」


……そのくらいなら、安定すると思います」


ほんと?じゃあ、このくらいの大きさで作るね

 

転がすたびに雪玉は少しずつ大きくなり、セツナはそれを見て満足そうに頷いた。

 

次は表情作り。


淡く光る雪を使うと、雪だるまの顔がほんのり輝く。

 

「これ、かわいくない?」


「はい。……とても」


「でしょ?私もそう思う

 

満足そうにそう言いながらセツナが笑う。

 

そして2人で作ったベースの雪だるまに、小枝を腕に見立て、簡単な装飾を整える。


完璧ではないが、どこか愛嬌のある雪だるまが完成した。

 

……完成、だね」

 

「はい。写真を撮りましょうか」

 

セイが端末を構え、角度を調整する。

 

パシャッ。

 

提出用の写真を撮り終えたあと、セイは少し指をためらわせ、こう言った。

 

「セツナさん、そのまま……少し右に寄っていただけますか」

 

「え、私も入るの?」

 

……はい。共同制作の記念、ですので……

 

そう言われて、少し照れたように笑いながら、セツナが雪だるまの横に並ぶ。

 

ファインダー越しに見る彼女の笑顔に、セイの手元がわずかに揺れた。

 

シャッター音が静かに、けれどセイの耳には大きく響いた。

 

「じゃあ、今度は私がセイを撮ってあげる」

 

「えっ!?僕もですか!?」

 

「当たり前でしょ。せっかく2人で作ったんだから」

 

……では、お願いします」

 

セツナにレンズを向けられ、セイはどこを見ていいか分からず、少しだけ姿勢を固くした。 

 

さらに数枚のシャッター音が響いたあと、セツナがいたずらっぽく笑って提案した。

 

「ねぇ、セイ。せっかくだからさ。2人で一緒に撮らない?」

 

……2人で、ですか」

 

「そう、自撮り。ほら、並んで」

 

雪だるまを挟んで、2人が並ぶ。

 

セイが腕を伸ばして端末を構えるが、画面を確認すると、どうしても2人の間に不自然な距離が空いてしまう。

 

「ちょっとセイ。もう少しこっちに寄らないと、画面に入り切らないよ?」

 

セツナが当然のように、肩が触れそうな距離まで1歩踏み込んできた。

 

「えっ!?ですが、セツナさんに、その、近すぎではないかと……」

 

「もう、そんなこと言ってたら、雪だるまが入らないじゃん」

 

「は……はい……では、その、失礼します……」

 

心臓の鼓動が、システム的なエラーではないかと疑うほど速くなる。

 

隣から伝わる彼女の体温に、セイは息を止めるようにしてシャッターを押した。

 

パシャッ。

 

画面の中には、少し強張った顔の自分と、それとは対照的に、心から楽しそうに笑うセツナの姿が収まっていた。

 

(第81話に続く)