拠点に戻り、庭に出る。
手袋をはめ、土をならし、プランターや透明ハウスを置く。
「このくらいでいいかな?」
「もう少し深く掘った方が良いかと思います」
「なるほど、了解」
手袋越しに土を触り、種を置く前に2人で軽く話す。
「今回、プランターはこれで大丈夫だよね?」
「はい。透明ハウスもあるので、芽が出やすいと思います」
「なるほど。じゃあ、水やりはどうしようか」
「少し霧吹きで湿らせるくらいで大丈夫だと思います」
セイは霧吹きを手に取り、土の表面に軽く水をかける。
「こうして、一緒に手を動かすの、なんか楽しいね」
「……はい。誰かと一緒に作業をするだけで、不思議と心が明るくなります」
そう言いながら、セイは種を置き、そっと土をかぶせる。
《共同作業ポイント獲得》
《獲得ポイント:100P》
「増えたね」
「はい、ではこのポイントで、クローゼットを拡張しますね」
セイは端末を取り出し、ポイントを確認しながらクローゼットの拡張を操作する。
「これで次から服もかけやすくなるね」
「……はい、2人分ですね」
そう言いながら、2人でクローゼットを覗きこむ。
クローゼットのスペースを見て、セツナは軽く笑う。
「小さなことだけど、生活感が出てきたね」
「そうですね。少しずつですけど、確実に変化しています」
2人は広くなったクローゼットを見ながら、軽く笑みを交わした。
「じゃ、今日はここまでかな」
「はい。また3日後に」
そう言ってセツナを見送った後、セイは新しいクローゼットを1度だけ見た。
(2人分……)
生活が、確実に変わり始めていた。
(第62話に続く)