■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第48話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
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書き綴るブログです。

買ってきたものを片付け終えたころ、ようやく一息つく余裕が生まれた。

 

最低限の物は揃った。


生活は、少なくとも破綻しない。

 

……少し、休もう)

 

腰を下ろした瞬間、ふと視界に入ったのは、さきほど買ってきたハーブティーだった。

 

(そういえば……)

 

試しておかないと、人には出せない。

 

湯を沸かし、茶を淹れる。


立ちのぼる香りを待ちながら、カップを両手で包んだ。

 

一口。

 

……悪くない)

 

強すぎず、後味も落ち着いている。

 

(これなら……)

 

そこまで考えて、思考は自然に別の方向へ滑っていった。

 

――以前、彼女と入ったカフェ。

 

自分が勧めたのも、こんな種類のブレンドだった。

 

どんな会話をしていたか。


彼女は、どんな表情をしていたか。

 

1人でいることが多い、と彼女は言っていた。

 

それは、1人でいるのが好きだからなのか。


それとも、そうせざるを得なかっただけなのか。

 

考える必要はないと分かっているのに、思考は止まらなかった。

 

無駄だと分かっていることほど、余裕があるときに浮かぶものだ。

 

ふと、端末に視線を落とす。

 

……もう、こんな時間か)

 

時間を意識せず、何かを考え続けていた。

 

そんなことは、久しぶりだった。

 

これまでは、時間は常に意識しなければならないものだった。

 

眠れない夜を数え、過ぎない時間を感じ、人の視線から逃げるために、必死でやり過ごしてきた。

 

けれど今は、違う。

 

いつの間にか、時間から意識が外れていた。

 

……どうしてだろう)

 

答えは、出さなかった。

 

カップを洗い、小さな片付けを済ませる。

 

その後の時間は、特別な出来事もなく、淡々と過ぎていった。

 

軽く食事をし、身の回りを整える。

 

昼と夜の境目は曖昧で、外の光が静かに色を変えていくのをただ眺めていた。

 

この1日は、何かを成し遂げた日ではない。

 

けれど、確かに「生活した1日」だった。

 

夜になり、照明を落とす。


家の中は静かだ。

 

不安が完全に消えたわけではない。


それでも、ここにいていいという感覚はもう疑う必要がなかった。

 

そうして、この家に来てから2日目が終わった。

 

イベントとしての区切りではなく、生活として、1日を終えた2日目。

 

明日もまた、ここで朝を迎える。

 

それはもう、特別なことではなかった。

 

セイは静かに横になり、そのまま目を閉じた。

 

(第49話に続く)