王81年オフ①
昨プレイオフでミラクルな快進撃を見せたキングスは、あっという間にバラバラになってしまいます。
【その前にライバル登場】
この当時、MISLというインドア・サッカー・リーグがありました(メジャー・インドア・サッカー・リーグの略)。
81年5月5日、そのリーグのサンフランシスコ・フォッグというチームがカンザスシティに移転してきます。
このチームはカンザスシティ・コメッツという名前になり、ケンパー・アリーナを本拠地とすることになりました。
北米4大スポーツのチームではないんですが、これがキングスにとって思わぬ?ライバルとなります。
【ルールを利用した邪魔者】
この当時、「Right of First Refusal」という拒否権制度がありました。
これは “あるチームがあるFA選手に大きなオファーを出した場合、元所属チームが一定期間内にその契約にマッチすれば、引き留める権利を持つ”というもの。
ただ、選手たちは各チームの条件を自由に受け入れることができるため、チーム間では選手たちへのオファー競争が生じ、それは選手たちのサラリー高騰に繋がります。
この制度を利用して、大金を積んで他チームの選手たちを獲得しようと積極的に動いたのが、キャブスのオーナーであるテッド・ステピエン。
ステピエンは、複数のチームのいろんな選手たちに大型契約を次々に提示するんですが、オーティス・バードソング、スコット・ウェドマンもその対象となりました。
(ステピエンのやり方は周囲の顰蹙を買うものだったんですが、それはキャブス編で)
81年5月24日、キャブスは、まずバードソングに対して5年間約500万ドル(年俸80~85万ドルほどの保証+インセンティブ。最大で100万ドル級)という契約をオファー。
この当時、年俸100万ドル級の選手はまだおらず、これは他チームも驚く超破格のオファーでした。
そしてその10日後、今度はウェドマンにも5年間約400万ドル(年俸75万ドル+インセンティブ有)という契約をオファーしてきます。
これもまた破格のオファー。
キングスのフロントは、この二人を引き留めるか否かを決断しなければなりません。
【そしてドラフト前日①】
まずキングスは、キャブスがバードソングに提示したオファーにマッチして一旦引き留め、その上でネッツへトレード。
バードソング&翌日のドラフト2巡目指名権をネッツに放出し、クリフ・ロビンソンを獲得しました。
エグゼクティブ&GMのジェフリー・コーエンは、バードソングをオフィスに呼び出し、キャブスと同額のオファーを提示した上でネッツへトレードすると告知。
これによってバードソングは、史上初の年俸100万ドル級プレイヤーとなりました。
バードソングは今回の契約&契約について、
「(自分に)100万ドルの価値があるとは思わない」
「50万ドルの価値があるとも思わない。選手の価値を測るのは難しい」とコメント。
しかし、その一方で「でも、自分の将来を考えなければならない。他の選手ならやらなかっただろう…なんてことは何もしていない」とも話しました。
(バードソングは、キャブスのオファーシートにサインする前、キングスからの年俸65万ドルほどのオファーを断っています)
また、カンザスシティを離れることについては、
「複雑な気持ちだ」「カンザスシティに残りたかった。ここが大好きだ。移籍するのは悲しい。フィル(フォード)、コットン…私たちの関係は変わらない。私たちはまだお互いを愛している。私にとって良い移籍だけれども」とコメント。
キングスの取った手段は想定外だったようで、
「ステピエンが私に信頼を寄せてくれたことに感銘を受けた」
「衝撃的だった」
「クリーブランドに行くと確信していた。カンザスシティが同額を提示するとは思っていなかったし、他のチームも手を出すとは思わなかった」と話していますが、
「クリーブランドに行く準備はできていたが、こうなった今、ネッツに行くことに興奮している。彼らは上昇気流に乗っている組織だ」と切り替えています。
ロビンソンはキャリア2年のPF(6フィート9インチ)。
この時点で21歳と若く、ネッツでの2シーズンでは、平均16.4点・7.4リバウンドという成績を残しています。
一連の動きについて、コーエンGMは以下のように総括?しています。
「オーティスを失うことについて、何を言えばいいのか?」
「3年連続でプレイオフ進出に貢献してくれた、最高のGを失うことになる。でも、キングスの弱点のひとつは、体格とリバウンドだったが、ロビンソンはその両方を補ってくれる。彼は若く、大きな可能性を秘めている」
「クリフは得点力とリバウンド力、そして素晴らしいポテンシャルを秘めている」
【ドラフト前日②】
スコット・ウェドマンを引き留めず、更に翌日のドラフト2巡目指名権もキャブスに放出。
見返りとして同ドラフト1巡目指名権を獲得しました。
これは、“キングスは、ウェドマンを引き留めない代わりにキャブスから1巡目指名権をもらう”という取引。
キングスは、ウェドマンを手放したかったわけではないんですが、お金がなかったんですね。
こちらの取引についてコーエンGMは、
「スコット・ウェドマンのような偉大な選手をトレードせざるを得なくなり、大変残念に思う」
「しかし、現在のFAの年俸水準は、いかなる合理的な基準をもはるかに超えているんだ」
「我々は常にキングスを守ることを最優先課題と述べており、その目標は達成した」と語っています。
コットン・フィッツシモンズHCは、「スコッティがいなくなるのは本当に寂しい。彼は過去3年間、キングスのプレイオフ進出に大きく貢献してくれた。キャバリアーズで素晴らしい活躍をしてくれると確信しているよ」と話しました。
因みに、ここで得たドラフト1巡目第17位指名権について、コーエンGMは「我々は、今も将来もチームを助けてくれる選手を獲得することになるだろう」コメント。
この年のドラフトは、専門家たちから層が厚いと評価されていたようです。