小売店のレジ打ち熟女アルバイターです。
…
ことし入社した新入社員の若者が
驚くほど優秀で、驚くほど落ち着いているものだから
アルバイトのわたしは今やすっかり
彼のことを他のベテラン社員と同様、頼りにしている。
同僚の熟女バイト仲間なんて
「彼、人生何回目なんだろ」って、よく呟いてるし。
そんな彼がわたしの隣のレジに入ったとき
お客さんが途切れ、待機している姿に
あれ、なんとなくいつもの感じじゃないような…
ほんのちょっとだけ
目がうつろで、ぽわっとしているように見えた。
気になってその後
彼と顔を合わせたときに聞いてみたのだ。
わたし「もしかして体調良くないですか?」
社「え!いやあの、そう、ちょっとあまり良くなくて…」
社「あー、(見た目に)出ちゃってるのか、、だめだなぁ」
悔しそうな、落ち込んだような
なんとも言えない表情で言葉を続けた。
表には出てないと思う。
いつもと変わらず感じのいい接客と
いつもと変わらず率先しててきぱき動く姿。
わたしが、ほんのりそう感じただけ。
勤務中に調子の悪さを出さないってのはわかるし
当然のことかもしれない。
無理したらだめだけど。
それでもやっぱり仕事に向き合う姿勢が
まじめでちゃんとしてんだなって。
一方の、わたし
ここのところ勤務のたびに
夕方あたりから体調を崩しぎみになる。
8時間勤務のうち6時間半を暑いレジ内で過ごしており
水分は摂っているものの、軽い熱中症の気がしないでもない。
勤務先の建物(ショッピングモール)自体が古くて
個々のテナントで空調が調節できないのだそうだ。
「痛いいいいいいいいいいいいい」
「おえええええええええええ(吐きそう」
「死にそうに痛い!!!」
夕方から急激に頭痛がひどくなって
休憩中に事務所で騒ぐ熟女。
きっと、うぜー。
アイスノン脇に挟めって貸してくれたけど。
で、鎮痛薬によって痛みが少しマシになったとき
ふと体調不良の新入社員を思った。
彼こそ、真の棚橋イズムを心に携えし者だと。
100年に一人の逸材
『疲れない』プロレスラー・棚橋弘至氏。
しかし、棚橋だって人間だもの
時には本調子でないこともあるに違いない。
ただ、彼はその不調を絶対、誰にも見せないだろう。
そんな心意気を
新入社員の彼から感じとったよね。
棚橋イズムを崇拝し
ここ2年ほど職場で「疲れた」と発していないわたしだが
まだまだ甘いと感じた日。
なお、わたしはプロレスに関して無知であることを
どうぞお許しください。