ほうれん草のクロルピリホスの残留基準値と小松菜
■ほうれん草のクロルピリホスの残留基準値と小松菜
まいど、おおきにさんです。中国食品コメンテーター、戸田大介です。
前回、中国から輸入された冷凍ほうれん草に、クロルピリホスと言う農薬が基準値を超えて残留していたために。ポジティブリスト制度が運用されるようになったことをお話しました。
クロルピリホスは、中国語で毒死蜱(du2 si3 pi2)と言います。
ポジティブリストが導入される以前、ネガティブリストでクロルピリホスの残留基準が、それぞれ各種野菜に関していくらの基準値が設定されていたのかを見てみましょう。
ほうれん草 0.01ppm
ねぎ 0.01ppm
うすいエンドウ0.10ppm
小麦・米 0.1 ppm
トマト 0.5 ppm
ピーマン 0.5 ppm
にんじん 0.5 ppm
キャベツ 1 ppm
はくさい 1 ppm
小松菜 2 ppm
大根 3 ppm
アスパラガス 5 ppm
茶 10 ppm
(2006年5月29日以前のネガティブリスト制度の残留基準値)
クロルピリホスと言う農薬の基準値は、上記のように野菜によってまちまちの基準値で運用されていました。
少し本題からそれますが、上記の残留農薬の基準値、小麦・米の0.1ppmと、うすいエンドウの0.10ppmの違いがどうしてなのか、お分かりになりますでしょうか?
どう違うのか、一般的には非常にわかりにくいかもしれません。
これは、有効数値の違いです。
小麦・米の「基準値0.1ppmを超えないこと」は、残留していた農薬が0.14ppmだった場合、基準値を超えているので違反でしょうか?
答えはNoです。
有効数値の最後の桁はその下の桁を四捨五入します。と言う意味があります。
だから、0.1ppmが基準の場合、0.05ppm~0.14ppmが範囲内の数値になります。0.15ppm未満で残留基準を満たすことになります。
0.10ppmの場合は、0.095ppm~0.104ppmが範囲内の数値となり、より厳しい基準だと言えます。
残留基準値はADIだけでなく、各農作物を国民が平均的に食べる量(厚生労働省の国民栄養調査によるフードファクター)から農薬の推定摂取量を計算して決めます。
食習慣は国、民族で違います。
例えば、米の摂取量は1人1日当たり、日本では約200g、アメリカでは約17g、ヨーロッパでは約12gと言われています。
そのため日本では、お米の残留基準値は同じ農薬でも欧米の10分の一以下の厳しいものになっています。
2002年当時、中国から輸入される冷凍ほうれん草からことごとく、クロルピリホスの残留基準値違反が見つかり、最終的には中国政府が日本に輸出させないような措置を採りました。
当時のメディアの報道では、当初6倍(0.06ppm)の違反が、12倍(0.12ppm)、54倍(0.54ppm)、最終180倍(1.8ppm)までセンセーショナルに上昇していきました。
日本の大手商社、各メーカーも現行の管理ではダメだと言うことで、中国において自社農場を作り、そこで一括管理のもとに栽培したりするように対策を打ち出しました。
しかし、すぐには問題の解決にはなりませんでした。
それで当時、輸入できなくなった冷凍ほうれん草の代わりに、急遽大量の冷凍小松菜が中国から輸入されることになったのです。
なぜ冷凍小松菜が大量に輸入されるようになったのでしょうか?
実はからくりがあったのです。
ほうれん草 0.01ppm
小松菜 2 ppm
上記のようにクロルピリホスの残留基準値は、小松菜はほうれん草の200倍だったのです。
ほうれん草で大騒ぎした180倍の残留基準値違反も、小松菜なら何ら問題なく基準値の範囲内で輸入ができたからにほかなりません。
なぜ、同じ葉物野菜のほうれん草と小松菜で、同じ農薬であるクロルピリホスの残留基準値がこうも差があって違うのでしょうか?
これは厚生労働省曰く、国民が平均的に食べる量(国民栄養調査によるフードファクター)から決めたものなのです。
要するに日本人は小松菜は頻繁に食べないが、ほうれん草はかなり頻繁に食べると厚生労働省は判断していたと言うことになります。
個人的にはだからって、小松菜を食べる量が平均的にほうれん草の200分の一かどうかは疑問の余地がおおありだと思います。
厚生労働省のお役人さんたちの頭の中には、きっと無類の小松菜大好きさんがいることは考慮に入れられていなかったのでしょう。
ちなみに現ポジティブリスト制度のもとでは、小松菜のでクロルピリホスの基準値は1ppmに引き下げられた筈です。
冷凍ほうれん草の代わりに冷凍小松菜が多く輸入されるようになり、以前より2倍ぐらいの頻度で食卓に小松菜登場の機会が増えたと言う見解なのでしょう。
長くなりますので、続きはまた次回に。
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まいど、おおきにさんです。中国食品コメンテーター、戸田大介です。
前回、中国から輸入された冷凍ほうれん草に、クロルピリホスと言う農薬が基準値を超えて残留していたために。ポジティブリスト制度が運用されるようになったことをお話しました。
クロルピリホスは、中国語で毒死蜱(du2 si3 pi2)と言います。
ポジティブリストが導入される以前、ネガティブリストでクロルピリホスの残留基準が、それぞれ各種野菜に関していくらの基準値が設定されていたのかを見てみましょう。
ほうれん草 0.01ppm
ねぎ 0.01ppm
うすいエンドウ0.10ppm
小麦・米 0.1 ppm
トマト 0.5 ppm
ピーマン 0.5 ppm
にんじん 0.5 ppm
キャベツ 1 ppm
はくさい 1 ppm
小松菜 2 ppm
大根 3 ppm
アスパラガス 5 ppm
茶 10 ppm
(2006年5月29日以前のネガティブリスト制度の残留基準値)
クロルピリホスと言う農薬の基準値は、上記のように野菜によってまちまちの基準値で運用されていました。
少し本題からそれますが、上記の残留農薬の基準値、小麦・米の0.1ppmと、うすいエンドウの0.10ppmの違いがどうしてなのか、お分かりになりますでしょうか?
どう違うのか、一般的には非常にわかりにくいかもしれません。
これは、有効数値の違いです。
小麦・米の「基準値0.1ppmを超えないこと」は、残留していた農薬が0.14ppmだった場合、基準値を超えているので違反でしょうか?
答えはNoです。
有効数値の最後の桁はその下の桁を四捨五入します。と言う意味があります。
だから、0.1ppmが基準の場合、0.05ppm~0.14ppmが範囲内の数値になります。0.15ppm未満で残留基準を満たすことになります。
0.10ppmの場合は、0.095ppm~0.104ppmが範囲内の数値となり、より厳しい基準だと言えます。
残留基準値はADIだけでなく、各農作物を国民が平均的に食べる量(厚生労働省の国民栄養調査によるフードファクター)から農薬の推定摂取量を計算して決めます。
食習慣は国、民族で違います。
例えば、米の摂取量は1人1日当たり、日本では約200g、アメリカでは約17g、ヨーロッパでは約12gと言われています。
そのため日本では、お米の残留基準値は同じ農薬でも欧米の10分の一以下の厳しいものになっています。
2002年当時、中国から輸入される冷凍ほうれん草からことごとく、クロルピリホスの残留基準値違反が見つかり、最終的には中国政府が日本に輸出させないような措置を採りました。
当時のメディアの報道では、当初6倍(0.06ppm)の違反が、12倍(0.12ppm)、54倍(0.54ppm)、最終180倍(1.8ppm)までセンセーショナルに上昇していきました。
日本の大手商社、各メーカーも現行の管理ではダメだと言うことで、中国において自社農場を作り、そこで一括管理のもとに栽培したりするように対策を打ち出しました。
しかし、すぐには問題の解決にはなりませんでした。
それで当時、輸入できなくなった冷凍ほうれん草の代わりに、急遽大量の冷凍小松菜が中国から輸入されることになったのです。
なぜ冷凍小松菜が大量に輸入されるようになったのでしょうか?
実はからくりがあったのです。
ほうれん草 0.01ppm
小松菜 2 ppm
上記のようにクロルピリホスの残留基準値は、小松菜はほうれん草の200倍だったのです。
ほうれん草で大騒ぎした180倍の残留基準値違反も、小松菜なら何ら問題なく基準値の範囲内で輸入ができたからにほかなりません。
なぜ、同じ葉物野菜のほうれん草と小松菜で、同じ農薬であるクロルピリホスの残留基準値がこうも差があって違うのでしょうか?
これは厚生労働省曰く、国民が平均的に食べる量(国民栄養調査によるフードファクター)から決めたものなのです。
要するに日本人は小松菜は頻繁に食べないが、ほうれん草はかなり頻繁に食べると厚生労働省は判断していたと言うことになります。
個人的にはだからって、小松菜を食べる量が平均的にほうれん草の200分の一かどうかは疑問の余地がおおありだと思います。
厚生労働省のお役人さんたちの頭の中には、きっと無類の小松菜大好きさんがいることは考慮に入れられていなかったのでしょう。
ちなみに現ポジティブリスト制度のもとでは、小松菜のでクロルピリホスの基準値は1ppmに引き下げられた筈です。
冷凍ほうれん草の代わりに冷凍小松菜が多く輸入されるようになり、以前より2倍ぐらいの頻度で食卓に小松菜登場の機会が増えたと言う見解なのでしょう。
長くなりますので、続きはまた次回に。
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