人類の自殺2 国民保護計画 | ヒロシマときどき放送部

ヒロシマときどき放送部

2016年広島で高校の教員を定年退職し現在は山奥のお寺の住職をしています。ヒロシマのこと、放送部顧問をしてきたことを書いてみます。

 2004年に「国民保護法」ができて、地方公共団体はミサイル攻撃などの危険が迫った時に住民を安全に避難させるための計画を立てることになった。住民に対しては、ミサイル攻撃があった場合どう行動したらいいかパンフレットが配られたりしている。例えば相模原市のパンフレットにはこう書かれていた。

 

 弾道ミサイル落下時の行動について(国からの通知) 

 弾道ミサイルは、発射から極めて短時間で着弾します。

 ミサイルが日本に落下する可能性がある場合は、全国瞬時警報システム(Jアラート)を活用して、防災行政無線で特別なサイレン音とともにメッセージを流すほか、緊急速報メール等により緊急情報をお知らせします。

 メッセージが流れた直後に取るべき行動

 屋外にいる場合

 近くのできるだけ頑丈な建物や地下に避難してください。

 近くに適当な建物がない場合は、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守ってください。

 屋内にいる場合

 できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動してください。

 行政からの指示に従って、落ち着いて行動してください。

 

 どこもだいたい似たり寄ったりだと思うけれど、住民はこれを読んで果たして安心できるだろうか。もちろん、窓から空を眺めるより窓のない部屋に隠れる方がマシとは言える。でも今頃の家に窓のない部屋なんてあるのだろうか。思いつきだけど、クローゼットに隠れましょうとでも書いたほうが気が利いているのではなかろうか。

 政府はより詳しく、核爆発が起きたときにはこうしなさいと広報している。

 

 閃光や火球が発生した場合には、失明するおそれがあるので見ないでください。

 とっさに遮蔽物の陰に身を隠しましょう。近隣に建物があればその中へ避難しましょう。地下施設やコンクリート建物であればより安全です。

 上着を頭から被り、口と鼻をハンカチで覆うなどにより、皮膚の露出をなるべく少なくしながら、爆発地点からなるべく遠く離れましょう。その際、風下を避けて風向きとなるべく垂直方向に避難しましょう。屋内では、窓閉め・目張りにより室内を密閉し、できるだけ窓のない中央の部屋に移動しましょう。

 屋内に地下施設があれば地下へ移動しましょう。

 屋外から屋内に戻ってきた場合は、汚染物を身体から取り除くため、衣類を脱いでビニール袋や容器に密閉しましょう。その後、水と石けんで手、顔、体をよく洗いましょう。

 安全が確認できるまでは、汚染された疑いのある水や食物の摂取は避けましょう。

 被ばくや汚染のおそれがあるため、行政機関の指示などにしたがい、医師の診断を受けましょう。(内閣官房『武力攻撃やテロなどから身を守るために』2005)

 

 言いたいことはたくさんあるが、ここは広島市の指摘を紹介しよう。

 

 (国は)想定される武力攻撃事態の一つとして、核兵器による攻撃を挙げていますが、核兵器攻撃がもたらす具体的な被害想定やこれに基づく対応策は示されていません。(中略)本市としては62年前の被爆体験を踏まえた場合、国の基本指針に書かれている、爆心地周辺から直ちに離れる、避難に当たっては風下を避けるなどといったことでは対応できないと考えています。(広島市『広島市国民保護計画』2008)

 

 広島市が最初に取り組んだのは、広島の上空で再び核爆発が起きたらどうなるかをシミュレーションすることだった。