弁護士の仙頭真希子です。
以前,遺産分割における預金の取り扱いについて,一部の銀行では
分割相続による払い戻し手続きに応じてもらえるという記事を書きました。
http://ameblo.jp/sento-law/entry-12211217585.html
平成28年12月19日,最高裁大法廷で遺産分割における預金の取り扱いについての
判例を変更する決定が出ました。
これまでは,遺産の中でも預金債権は当然に分割されて,各相続人に法定相続分どおりに
相続されていると考えられており,遺産分割審判の対象にはならないとされていました
(但し,相続人全員の同意があれば,対象となるため,実際には預金も含めて遺産分割の
審判がなされることはありました)。
この判例により,遺産に預金しかない場合,他の相続人に多額の生前贈与があっても,
一部の相続人に相当額の寄与分があっても,それを考慮した遺産分割をする方法が
ないという不都合が生じていました。
私自身も,こういうケースで相談を受けたことがあります。具体的には,自分が被相続人の生前に相当額の仕送りをしていて,被相続人の遺産のほとんどが自分の仕送りしたお金であるのに,相続財産が預金しかないため,自分の寄与分を考慮した遺産分割をする方法はないと家裁に言われた,どうにかならないか,というものです。
でも,これまでの判例や実務ではどうにもできなかったのです。
今回の判例変更により,今後は,上記のような場合に,一部の相続人の生前贈与や
寄与分を考慮した遺産分割審判ができるようになりそうです。
今回の判例変更を受けて,これまで分割相続に応じてきた金融機関も対応を変えることが
予想されますので,ご注意下さい。
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