139.約束 | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

139.約束

告白するという行為、心に溜めないという行為、私には本当にそれが自分の為になっているのかは解からなかった。

私自身に残る感覚は何も変わらない。

はっきりと解かるのは周りが変わったということ。

褒められるから、「すっきりしたでしょ」そんな風に言われるから、そんな風に思う。

もう少し傷心でいたいような、これでよかったような。

何だか、まだ傷ついている事が恥ずかしく思える。


「この土曜何処か行きたいとこある?」

「何処でもいいよー」

「今回は何か決めてよ」

「何かね…」

「俺もそんな詳しいわけじゃないし、実はネタ切れやったり…」

「したいこととか今ないの?」

「うーん、一応はあるけどいつもと同じになってまうしな」

「別にそれでもいいよ」

「何かないの?ほら、5秒以内に何か言うて!5・4・3・・・」

「ちょっちょ、待ってや!えっと」

「何、何?」

「何処じゃないけど、したいことある」

「おっ、それいっとこ!!」

「うんと、待ち合わせしたい」

「いつもしてるやん」

「違うもん、いつも迎えに来てもらってるだけやもん」

「何か違う?」

「全然違うよ。約束して、待ち合わせして、待った?全然待ってないよ的なあれがいい」

「いやいやいや、実際『よ!』で終わりやし」

「やるの!待ちたいの!」

「はいはい、んじゃ家の前で待ってろよ」

「もーーー、アホーーー」

「解かった解かった、んじゃ、中間距離の京都で待ち合わせ」

「うん」

「お前、大丈夫?迷子になったりとかさ…」

「任せといて!確実に迷うから」

「ハァ…俺、探すの嫌やで」

「探してよ」

「はいはい、じゃ、解かりやすいとこにしよな」


元気付ける為か、それとももう私が元気だと思っての事か、いつもと変わらない彼に少し不満だった。

もう少し気にかけて欲しいそんな風に思った。

だけど、何も言えなかった、元気なフリをした。

何もなかったかのように。


待ち合わせの約束は、ずっとずっと夢にまでみたこと。

守ってオーラ全開の私は、いつも男に歩かせてはもらえなかった。

自分で言うのも馬鹿らしいが、姫扱いだ。

今までなかったこと、彼としたいと思ってた。

嬉しいはずの約束。

何だかイライラに負けそうだ。


今月、2度目の生理が始まった。

終わって1週間も経たない。

心が痛いとか傷ついているという感覚は正直ない。

この滅入った気持ちは、多分、何も感じないすぐに大丈夫になってしまった自分が少しだけ変なような気がしているからかもしれない。

身体が不調を訴える。

身体の異変が不安にさせる。

本当はまだ悩んでいないといけないようなそんな気にさせられる。


彼に不安を訴えたところで仕方ないのかもしれない。

だけど、慰めて欲しかった。


生理は2日で終わった。

どっと経血が溢れ出たというようなものだった。

そんな短い生理はますます不安だった。

私、大丈夫なのかな…。



← 138 ]  [ 140 →