【雑談】地球のトロヤ群小惑星 | 大放言・毒を吐くブログ アメーバ版

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※地球には珍しい「トロヤ群小惑星」

2020年に発見されていた小惑星「2020 XL5」なる小惑星がその後の観測、研究により

「地球のトロヤ群小惑星」

である事が明らかになったと言う。史上2例目の発見だと言う。



※2つの天体の重力が釣り合う点がラグランジュ点。

そもそも「トロヤ群小惑星」とは何か?と言う話だが、早口に言うと

「太陽と地球の重力が釣り合う点を公転する小惑星」

である。太陽と地球の重力が釣り合う点は「ラグランジュ点」と呼ばれ、上記画像のL1~L5の5つの点が存在するが、今回確認された小惑星「2020 XL5」はL4地点を公転するトロヤ群小惑星だと判明したのだ。

※トロヤ群小惑星は他の惑星にもある。

ラグランジュ点は太陽と地球に限らず、太陽と他の惑星の間にも存在するので他の惑星にも「トロヤ群小惑星」は当たり前の様に存在する。他の惑星では火星に9個、木星に10512個、天王星に1個、海王星に30個、それぞれ発見されている。

※土星は少々特殊。

土星は?と思う方も居ただろう。何故か土星に限ってはラグランジュ点でも重力の均衡が不安定らしく、それに該当する小惑星は発見されていない。その代わり、ではないが、土星の衛星同士がこの関係になっているものがあると言う。また、地球近辺にある小惑星には太陽と地球のラグランジュ点2つを行き来しながら公転する特殊な軌道の小惑星もある。意外に奥が深い。

また、木星のそれが他を圧倒している数を誇るが、木星前方のそれを「ギリシャ群」、後方のそれを「トロヤ群」と区別し、該当する小惑星が発見されると古代ギリシャ軍、トロヤ軍の兵士の名に因んで命名する慣習があるらしい。だが、それが確立する前に発見されていた小惑星ヘクトルは由来の人物ヘクトールがトロヤ軍であるにも関わらずギリシャ群に、小惑星パトロクロスも由来の人物パトロクロスがギリシャ軍なのにトロヤ群、となってしまっている。さぞかし当人達も天国で嘆いている事だろう。

※「2020 XL5」の公転軌道。

この様な軌道になってしまうのは恐らく元々別の軌道で太陽の周りを公転していたものが、付近の惑星の重力によって軌道を変えられ、結果その惑星と太陽の重力が釣り合うラグランジュ点で落ち着いてしまった、と言う事なのだろう。地球近辺にも小惑星は多数あるので将来的にはその幾つかが地球の重力で軌道を変えられ、トロヤ群小惑星になるかも知れない。…と、言う割に実例はこれが2つ目と少ないが、これには理由がある。

地球のトロヤ群小惑星はいずれもラグランジュ点のL4ポイントでの発見だ。この場所は地球の公転に先行した場所の為、常に太陽の側を向いており、観測が困難なのである。まともにこの区域の観測が出来るのは夜明け前の僅かな時間。その中で1億5千万km彼方の直径百数十km程度の小惑星を発見・観測するのだ。その困難さは想像に難くない。だがこの「2020 XL5」に関しては将来の軌道まで計算されており、それによると「地球のトロヤ群小惑星」として安定した軌道でいられるのは約4千年程なのだと言う。僅かではあるが太陽と地球以外の天体の重力も作用するのでそういった影響もあるのだろう。

 

 

この様な小惑星を探索したり研究するどんな意味があるのか?と言うと太陽系や生命の起源を探る鍵としての可能性や、資源探索などの意味があると言う。しかもこの「2020 XL5」はあの「はやぶさ2」がサンプルを持ち帰った小惑星「リュウグウ」と同じ「C型小惑星」と言う有機物の豊富な種類の小惑星と考えられているのだと言う。120km程の小さな小惑星だが、研究対象としての可能性はそれ以上の様である。