１０年間入居していたアパートのリフォームが進む。
内装工事が終わり、水道工事店が設備取付に現場に入った。
「児玉さん、これ見て」と厚紙に入れた中身を見せた。
「なに、これ」ヘドロみたいにみえた薄気味悪い物体。
「ユニットバスの排水トラップに詰まっていた髪の毛よ」。
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入居者が退去するときに、「お風呂の排水が悪く、浴槽の栓を
開けいても、水がなかなか引かんようになっている」。
１０年間、髪を洗った抜け毛がたまり貯まってすごい量に。
定期的に排水トラップの掃除をしてくれたら、よかったのにと
思ったが、掃除の仕方がわからない人には難しいのかな。
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「このアパートにしては、めずらしく手をかけたんやね」。
「１０年間もいたら痛みがひどくて、ちょんちょんという訳
にはいかないんで、本格的に大工工事からやり替えたよ」。
「そういえば、このたびの大工さんは初顔じゃったね」
「今までの大工さんはもう歳でね。『最近意識が３０秒程なく
なる』と言ったので、危ないから大工さん新しくしたんよ」。
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「水道屋さんも、最近は新築工事はしなくなったの」
「わしも歳やし、体がエラいから小さな工事しかせんのよ」
「そしたら、仕事をする日もだいぶん少なくなったじゃろ」
「週に３～４日仕事をして、週休３日制よ」・・・
３５年前から共に仕事をしたきた仲間だが、お互い歳を取って
少しずつ現役から離れていくのは、致し方ないことなのかな。
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