朝の１０時前に、ひとりの老人が事務所に入ってきた。
ちょっと間を開けて、若い男女のカップルが入ってきた。
ふた組の別々のお客さんかと思ったが、おじいさんの後ろに張
り付いたまま動こうとはしない。どうやらこの３人は、同じ
ひと組のお客さんになるらしい。
・
おじいさんが「この先にある、中学校の前の◯■△・・・？」
「あ～、下松市西豊井にある中古住宅のことですか」
「そうそう、あの中古住宅の中を見せてもらえませんか」
私は１０時から別の予定があったので、賃貸担当者に内覧を
お願いすることにした。
・
１１時頃用事を済ませて事務所に帰ると、３人のお客さんは内
覧を一旦済ませて、再度事務所に立ち寄ったという。
様子を聞きしばらくすると、また３人が事務所にやってきた。
「おった、おった。」おじいさんが入ってきた。
「何度も足を運んでいただいて、すいません。」
「あの中古住宅は、もう少し安くならんのかね」
おじいさんが性急に値引きのことをいうが、ちょっとそらして
本題に入ろうと若いお客さんにたずねた。
「何か聞きたいことがありますか」・・・
本音は、どうやらいくら値引きをしてくれるのかのようだ。
「売主さんに値引きの話をして、後日連絡をします」
・
最初から値引きの話しをするお客さんは、あまりいいお客さん
とは言いがたいが、おじいさんが若い２人を後押しをするとこ
ろを見ると案外本気なのかもしれない・・・。
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