柔道の山下泰祐さんといえば、若い人はピンとこないかもしれません。
今から２６年前のロサンゼルスオリンピックで、柔道無差別級の金メダ
ルに輝いた日本のヒーローです。決勝戦の当日は右足を負傷して、ビッ
コをひき、天を仰ぎながら青畳に上がってきました。その痛々しい姿を
見た日本人のだれもが、山下の勝ちはあり得ないと思いました。
お互い礼をして、主審の「始め～」の号令がかかります。山下は右足の
負傷はどこかにいったかのように両手を高々と上げて「さっこい～」
と気合いを入れました。相手は無差別級で、決勝まで勝ち上がってきた
エジプトの強豪ラシュワン選手です。山下の負傷した右足を足払いでも
しようものなら、痛さでひっくり返って簡単に勝負ありになりそうです。
でもラシュワンは決して右足を攻めようとはしません。ラシュワンが投
げ技をかけようとしたその時、山下はその一瞬を待っていたかのように
相手の体を巻き込んで倒して寝技に持ち込みました。この電光石火の一
瞬の早業は、だれもが予想したものではありませんでした。
山下はこのワザ以外に勝てるものはないと、ひたすらそのチャンスを待
っていたのでした。この一瞬の寝技で一本勝ちになり、金メダルに輝い
たのでした。勝った山下選手が、金メダルを胸に「君が代」斉唱を聞
きながら涙した姿は日本人のだれもが感動をして忘れることはないでし
ょう。でもラシュワン選手の相手が負傷した弱みを、決して攻めない
正々堂々とした戦いぶりも、だれもが忘れることがないと思います。
その山下泰祐さんが・・・続きは明日のお楽しみ。
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