専門調査員から外務省専門職を目指す!【試験編】 | 外務省専門調査員のブログ

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今日は外務省専門職経験者採用試験で行われる各個別の試験の概要について、過去に合格した先輩から話を聞くことができたので、その内容を整理しながら紹介したいと思います(一部は貰った文章をそのまま載せています)。


ただし、こちらに書かれてるのは数年前に受験した際の内容なので、今は多少異なっているかもしれないということだけ断っておきます。最新情報は受験案内リンクからご確認ください。

https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/jyukennannnai/shiken103.pdf


外務省専門職経験者採用試験の試験は、一次が筆記試験(①基礎能力試験、②選択外国語、③小論文)、二次が面接(④個人面接、⑤集団面接、⑥総合評価面接)となっています。


以下、それぞれの試験について綴っていきます。


①基礎能力試験

公務員試験の基本となる基礎能力試験は多肢選択問題が30題出されます。確かほとんど四択問題のはずです。制限時間は2時間20分(140分)ですので、解答時間は1問あたり440秒となります。


問題レベルは総合職(Ⅰ種)相当です。同時に開催される他省庁の試験要項を見て貰えば分かりますが、外務省専門職経験者採用試験の一次試験は他省庁の総合職枠募集と同じ日程で試験が行われます。したがって、出題内容も当然に他省庁の総合職募集と同じものが使われています。


今年の試験も、総合職院卒者試験(法務区分)と総合職大卒程度試験(教養区分)と同日程で行われており、一部問題の量は異なっていますが、正答番号からも同じ問題であることが分かるかと思います。

https://www.jinji.go.jp/seitou/index.html


過去問等を解いた方だと分かると思いますが、総合職レベルの問題は専門職の問題を更にひと捻りさせた問題が多く、そう容易く正解には辿り着かない作りになっているので、問題の内容としてはかなり差があり、それ相応の判断力や思考力が求められます。なので、外務省「専門職」だからと思って普通の専門職(Ⅱ種)相当だと勘違いしていると太刀打ちできないので大変です。


新卒の方が受験する一般の外専試験レベルと異なる点で、一般の外専試験よりもハードルが高く設定されているとも言えます。


……とはいえ、高得点を狙わなきゃいけないわけではありません。昨年平均だと12.328点、基準点(足切り)は9点となっています。外専の経験者採用試験の平均点は他の省庁の経験者採用より高いので、それなりにレベルの高いライバルが多い、もしくは、試験対策をバッチリやってきている人が多いということがわかるかと思います。

https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/heikin/shikenec_heikin.pdf


今年の試験についても、既にネット上でいろいろ書かれてありますので合わせてチェックしてみてください。


②外国語試験

外国語試験は英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、アラ  ビア語、トルコ語、タイ語、インドネシア語、中国語及び朝鮮語のうち1か国語を選択し、その和訳2問+外国語訳2問を、制限時間2時間で解くことになります。1問あたり30分ですが、文章量がそれなりにあり、翻訳のスピードと正確性が求められます。


この外国語試験については専門調査員試験で受験するような外国語試験の形式とも似ているので、専調経験者であれば(それなりの翻訳能力も現場で鍛えられてるので)それほど苦にならないのではないかと思います。


出題内容は外交や国際政治に関するものがメインになるのではないかと思われます。和訳だと外国首脳のスピーチの和訳、外国語訳だと日本の外交青書の外国語訳などではないでしょうか。その他、国連など国際機関の報告書や新聞・メディアの記事などが出題される可能性もあるかと思います。


他の試験で差がつきにくいことを考えれば、ここで高得点を取っておく必要があるかと思います。また、おそらく当然ながら省内で採点されるため、個人的見地でいえば、外務省特有の文体や順番などを身につけておくと有利かと思います。


③経験論文試験

経験論文試験は公務員としての素質を見るような基本的な問題が出題されます。


「求める人材」にも「(6) 途上国の過酷な環境でも勤務できるたくましさ、国際社会の多様な価値観を理解し受け入れることができる柔軟性とバランス感覚を兼ね備えている者、(7)大学卒業後の研究(注)又は職務経験(業種は問わない。)の年数が、2019(令和元)年71日現在で通算9年以上に及ぶ者であって、これらの職務経験を通じて体得した効率的かつ機動的な業務遂行の手法その他の知識及び能力を有し、即戦力となるもの」と書かれてあるとおり、これにふさわしいと思われるような経験談を具体的かつ端的にかければよいかと思います。


美談を並べるよりも、どんなことでつまずき、苦労し、努力し、それをどう克服したか。採点者の想像力を掻き立たせ、上記の求める人材に当てはまるような印象を与えることが重要かと思います。


④個人面接

個人面接は面接官4人を相手に15分〜20分の面接が行われます。面接カードを事前に提出しているので、基本的にはそれに沿って行われるようです。志望理由、これまでの経歴、これから頑張りたいこと等のお決まりの質問から始まり、これまで苦労したことは何か、それをどう乗り越えたか、何を学んだか等の質問が出ることが多いのではないかと思われます。人によっては外国語での解答を求められることもあるようです。


面接カードと発言とに矛盾や疑問がある時は容赦なく問い詰められたり、質問がやや意地悪だったりと圧迫気味だったという人もいます。それもおそらく、合格後に必要な能力としてのストレスチェックだったりするのかもしれません。


二次試験で最も重視されるのはこの個人面接なのではないかと思います。後に書きますが、⑤集団討論はあくまで参考までという位置付けですし、⑥総合評価面接は比較的短時間で個人面接の延長という位置付けです。なので、この個人面接が二次試験の合否を大きく左右するといっても過言ではないのです。それだけに、考えられる限りの準備を尽くす必要があるようです。


⑤集団討論

集団討論はあくまで「総合評価面接の参考まで」という位置付けで行われます。集団討論は準備時間20分と面接時間40分間の計60分の構成です。81組でテーマが1つ与えられ、賛成と反対の2組に分けられます。まず準備時間では2組が別の部屋で作戦会議をし、その後、面接官のいる部屋に移動し討論に入ります。


集団面接の40分間は面接官の指図は一切なく、互いに意見を述べ合い、反論を重ねていきます。話す順番や話す長さなども全て自由で、何が評価されているのかはよく分かりません。ただ、話が冗長な人や博識を並べるだけの人は最終合格に残っておらず、むしろ、要点を押さえたスマートな発言をしたり他の人の意見を聞いた上でそれを膨らませられたりした人が多い印象です。個人面接では測りきれない、集団の中での役割や協調性が見られているのかもしれませんね。


⑥総合評価面接

総合評価面接は、面接官4人+人事課長との面接です。人によって差はあるものの5分〜10分と短い面接のようです。この時点ではもうある程度結果が出ていて、最終判断の場というような感じなのかもしれません。もしくは、まだ合否のライン上で迷っている人には改めてここで確認されるのかもしれません。いずれにしても、最後の最後まで気を抜かず、一貫性のある応答に気をつけることが大事なのかもしれません。


以上、外務省専門職経験者採用試験で行われる各個別の試験の概要についてまとめました。


一次試験も終わり、二次試験に向けて準備を進めるところ。情報収集に努めて、なるべく有利な環境で試験に臨んでいけたらと思います!