一次試験合格者リストから読み取れること | 外務省専門調査員のブログ

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外務省の在外公館専門調査員として共有できる情報をこちらのブログに綴っていきたいと思います。外務省専門職を目指す方もどうぞ!

お久しぶりです。

 

2019年(令和元年)春募集の在外公館専門調査員の一次試験合格者リストが国際交流サービス協会のHPに発表されています。合格者の皆さん,おめでとうございます。合格者の皆さんはこれから迎える二次試験を目前に,準備をされていることかと思います。

 

二次試験は人物面接と外国語会話です。どちらも在外公館で働いていく上で必要な基礎能力ですし,逆の発送で,在外公館で専門調査員として働いていく上で,どんな人物像が期待されているか?どのくらい,どんな外国語能力が必要とされているのか?などを考えながら試験の準備を進めていけば,自ずと合格に近づいていけるのではないかと思います。

 

さて,今日はちょうどHPに掲載されている一次合格者の一覧から読み取れることを探っていってみたいと思います。よく研究されている方にとっては至極当たり前のことを書き連ねることになるかもしれませんが,これから二次試験を控えている方,今後専門調査員を目指して受験準備を進めている方も参考にしていただけるものになれば幸いです。

 

では早速見ていきたいと思います!

 

 

①受験者数,一次試験合格者数,一次試験合格率

 

まず注目すべきは,受験番号欄です。

 

専門調査員の試験においては,過去の受験者数や一次試験合格率などは(たぶん)公開されていないのが現状です。そんな中,唯一それが分かる手がかりが,この受験番号なのです。

 

受験番号は,その番号の並びから,受験外国語と受験場所によって区分されていることが容易に想像できます。

 

例えば,「101」から始まるのは東京・英語受験者で,その番号は「101001」〜「101118」ですので,東京で英語を選択した人は最低118人いることが予想できます。同じく,「201001」〜「201042」からは,大阪で英語を選択した人が42人以上いることがわかり,合わせると少なくとも計160人が英語受験を行ったということになります。

 

そして,今回の受験ポスト一覧で英語で募集しているのは(別言語との選択も含めると)48ポストですから,倍率は3〜4倍になると考えるのが妥当でしょう。

 

しかも,一次試験を突破している人数は東京受験者83人,大阪受験者29人の計112人ですから,英語で受験された方が二次試験で合格する倍率は48/112=2.3倍であることが分かります。

 

もちろん,これには別言語ポストから受験できるポストも含めており,そこは別の言語の方とのパイの取り合いになりますし,英語以外の専門言語ができるというのはかなりの強みだと思いますので,実際にはもう少し倍率は上がるものと考えられます。

 

こんな感じで,上の推理を応用すると他の言語でも分かりそうですが,英語以外の外国語では受験番号のどの番号が何語なのか分かりかねるので,ここで予断することは避けますが,実際に受験されている方は,ご自身と同じ番号で始まる番号が同じ言語の受験者なのだなあということで,大体の倍率計算はできるかと思います。

 

また,一次試験の会場での並びで,同じ言語の人はまとまって座るため,自分のライバルがどんな人なのかということもなんとなくわかったりするかと思います。さらに言えば,試験の当日に用意する資料の中には学歴や住所を書いた紙を持参することもあり,前後左右の人の資料が見えたりもするので,自分と同じポストを目指しているライバルがどこの大学出身なのか等まで把握できたりもします。まあ,そこまでする人もめったにいないでしょうし,それを知ったからといって自分の合格の可能性が上がるわけではありませんが,戦う以上,ライバルを知ることは大切ですし,自分の目標も立てやすくなることもあります。

 

さて,2つ目に移りたいと思います。

 

②日本語面接,語学口頭試験

 

一次合格者のリストには日本語面接と語学口頭試験の開始時刻がずらーっと書いています。まず,自分の試験開始時刻とともに,その試験が最大何分なのかが分かるかと思います。募集要項上には,日本語面接15-20分,外国語会話10-12分とありますが,実際はどうなのでしょうか。

 

例えば,日本語面接の時間は「101112」の方が9日17:30,「101001」の方が9日17:45であることから,日本語面接の時間は一人あたり最大でも15分であることが分かります。しかもこれには途中の入れ替わりの移動時間なども含まれているため,実際に面接で話す時間は賞味10〜13分程度であることが分かります。

 

また,面接官側がこれだけ多くの人の面接をスムーズに進めるには,この時間を超過することは許されず,どんなに長い面接でも15分以内で終わることが分かります。

 

15分と聞くと長いと思う方もいるかも知れませんが,面接官からすれば,決して長くない時間です。私も別の機会にこうした多くの人を面接する機会があったのですが,面接官は,何日もかけて,15分おきに入ってくる見ず知らずの人を,たった15分間のうちにその能力を見分け,評価しなければならないのです。

 

そして,次々に面接者が入ってくる中で,やはり重要なのは,その人の第一印象と,その人が去った後に何が残るか,ということです。具体的な経験などが一番印象に残りやすく,面接室にいながらにしてその人の普段の人物像が伺い知れるので,評価が高くなる傾向にあると私は感じています。

 

少し話をもとに戻しますと,その賞味10〜15分の間に,いかに面接官に,自分のことを知ってもらうか。これを事前に用意しておかないと,この短時間で最大限の自分を伝えるのは難しいと思います。また,面接官が何を見ているかなど,面接対策についてはまた別の機会に書きたいと思います。

 

以上は日本語面接についてですが,もう一つの外国語試験については,募集要項にもすでにあるように,12分ほどの割当になっているかと思います。ただしこれも移動時間などを含めての最大時間ですので,実際には10分ほどで終わるように思います。

 

私が受験した際にも,面接官はネイティブの先生が一人で,まず①自分の研究を含め自己紹介を3分してくださいと言われ,次に②その研究内容について関連の質問が3-4問続きました。もちろん自分の研究分野の話ですと,かなり具体的な話をすらすらと語れたわけですが(おそらくネイティブの先生が聞いても「!?」となるような専門的な話を外国語でできたのもプラスになったかと思います),ここでは日本語面接とは異なり,外国語能力そのものについて評価されます。実際,試験途中に,外国人ではあまり使わないような難易度の高い単語を使って話したとき,その直後に面接官はそれを手元にメモしたように見えました。こうしたことからも,外国語試験では,自分の外国語能力をアピールできる瞬間を見せつけられるような準備をしておくのもテクニックかと思います。

 

以上,今日は,専門調査員試験の一次試験合格者リストから読み取れる情報として,①受験者数,一次試験合格者数,一次試験合格率,及び②日本語面接,語学口頭試験について見てきました。この他にも有益な情報が読み取れるという方がいましたら,ぜひ共有していただければ幸いです。

 

ただ,いずれにせよ,他人や全体の傾向を知ることは大切ですが,自分の能力を伸ばすことが一番重要です。こうしたマクロ視点での考察が皆さんの次のステップに繋がることを期待しています。