専門調査員選抜試験① | 外務省専門調査員のブログ

外務省専門調査員のブログ

外務省の在外公館専門調査員として共有できる情報をこちらのブログに綴っていきたいと思います。外務省専門職を目指す方もどうぞ!

今日は在外公館の専門調査員の選抜試験の概要と一次試験の内容について書こうと思います。

▼試験の概要
選抜試験には一次試験の筆記と二次試験の面接があります。原則、書類提出後にまずは一次試験があり、一次合格者のみが二次試験を受けられる制度になっています。ただ、追加募集などで現地派遣までの日程が近い場合は例外的に全員が一次試験、二次試験の両方を受験し、その成績によって合格者を決めることもあるようです。私が受験したのはこちらの形式で、一次試験の数日後に二次試験がありました。

▼一次試験:筆記
一次試験では語学と専門論文の試験があります。今回はその概要を書いて、より詳しい情報は次回書こうと思います。

【語学】
語学は派遣先公館と担当業務によって指定言語が決まっており、英語、仏語、中国語といったメジャーな言語から、ベトナム語、ポルトガル語といったマイナーな言語での募集もあります。中でも英語は募集枠が最も多いものの、受験者数も多いため、競争が激しくなる傾向があるようです。担当や派遣国によっても応募倍率は大きく異なるのでしょうが、その時々の受験動向をしっかりおさえながらも、他の受験者に負けない語学力を磨いておく必要があるようです。

語学の試験内容は単語翻訳と文章翻訳があります。どちらも非常に実務的なものが中心です。例えば、単語レベルであればその時々の時事用語、文章であれば外交白書や外務大臣の発言などから抜粋した文章を試験言語に翻訳するといった形式です。きちんと事前に勉強しておけば、ある程度はカバーできる内容です。ここでは、翻訳の正確さはもちろんのこと、その翻訳文の中で政治的な機微に触れる表現をいかに的確に訳出できるかなども非常に重要になってくると思います。外務省が発表している各種白書や文書に触れ、その外国語訳と照らし合わせながら、こうした表現はこう訳出するんだ、などと勉強していくのが最も効率的で高得点に繋がるのではないかと思います。

【専門論文】
専門論文の試験内容は受験言語によって異なると思われるものの、いたってシンプルなものが多いのではないでしょうか。私が受験した際は、一行の問題でした。例えば以下のようなものです。

・今後のトランプ政権の課題について述べなさい
・英国のEU離脱によってもたらされるフランスの移民政策への影響について、2017年のフランス大統領選挙を念頭に論じなさい
・中国の文化政策について、日本との関わりを念頭に論じなさい

これは過去問ではなく、あくまで例ですが、こういった広範な問いについて60分が与えられるわけです。論文の書き方については別稿に譲りたいと思いますが、読み手は誰か、評価基準は何か、そして見過ごされやすいのですが、読み手はどのような状況に立たされて読むか、などを常に考えながら書く必要があります。ここは基本的な知識や論証力を示す場でもあり、また、自身の専門性をアピールする場でもあるのです。同じ土俵に立っているライバルとどう互角に戦い、その上でさらにどう差別化できるかが合格への近道となると思います。

以上、一次試験について見てきました。次回は二次試験について書きたいと思います。