遺言を書く前に、もっと考えるべきこと。
それは、生きている間の幸せを考えることです。
「幸せを考える」と言うと、ちょっと漠然としてつかみどころがありませんが、具体的に言いますと、要介護状態、特に認知症に備えることとか、終の棲家について考えるということです。
こういった問題を考えるには、現在の資産と収入・支出の状況を把握して、見通しを立てる必要が出てきます。そして、それ以上に大切なのが、ご自分はこれからの日々をどう過ごしていきたいのか、という方針を持っていただくことです。
できるだけ自宅で過ごしたいのか、自宅で長く過ごすためにできることは何か、あるいは家族の負担なども考慮して、比較的早期に施設への入居を考えるのか・・・
施設に入るなら、自分の経済力でどんな施設に入れるのか、施設で少しでも元気に過ごしていくために何に注意したらいいのか・・・
そして、認知症になってしまったら、誰にどんなケアをしてほしいのか・・・
実は要介護になってしまった場合の「終の棲家選び」で失敗する方は非常に多いんです。
原因は何かと言うと、みなさん要介護状態になってから慌てて考えるんですね。
例えば、脳梗塞で倒れて、一命は取りとめたけど半身がマヒになってしまった。ホッとしたのも束の間、病院からはすぐに退院しろと言われ、慌てて施設を探し始めるものの、なかなか見つからずに在宅で家族が介護しながら施設を探す・・・
特養は順番待ちで入れない、次第に家族は疲れ始める。かなり切迫してから、契約書の内容もよく確かめずに有料老人ホームに入り、サービスに不満で退去しようと思ったけど、入居一時金が思ったほど返ってこないので出るに出られない・・・
こういうケースが、非常に多いんです。
もちろん、元気なうちから考えたからといって、順番を待たずに特養に入れるわけじゃありません。しかし、最初から要介護になった時の療養の方針を考え、経済的な見通しも立てている人と、イザ退院が迫ってから慌てる人では、物事の進み方も、精神的な疲労も、まったく変わってきます。
民間の有料老人ホームに入るにしても、あらかじめ財産と収入・支出の状況を把握しておけば、それだけでムダに探し回ることがなくなります。
また、ある意味で身体的な不自由より恐いのが認知症です。もちろん、体が不自由なのも大変ですが、認知症になってしまうと(認知症の程度にもよりますが)、意思疏通自体ができなくなってしまいます。配偶者も高齢で老老介護、子どもがいない、あるいは遠くに住んでいたり、疎遠になっていた場合、途方に暮れてしまいます。
どうでしょう?こういうことを考えずに、「遺言を書いたから安心」だとは、私にはとても言えないのですが・・・
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