映画「バットマン ビギンズ(35mmフィルム上映)を観る | 世日クラブじょーほー局

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「人はなぜ落ちる? 這い上がるためだ」

 

 幼少期、屋敷内にある涸れ井戸に落ちて脚を骨折し、父親に助けられたブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール=青年期)。その際、父親が彼を慰め、諭すために語った言葉であり、本作を貫くテーマでもあろう。

 

 なお、ブルースが苦痛に喘ぎながら助けを待つ間に、井戸の底の真っ暗な横穴から夥しい数のコウモリが飛び立ち、ブルースはなす術なく、顔を伏せるしかなかったが、これが彼にとって恐怖のトラウマとなったのだ。

 

 しばらく時を経た或る日、家族3人でのオペラ鑑賞の帰り道(これもコウモリが舞うシーンでブルースがフラッシュバックを起し途中退席した)、ゆきずりの強盗に目の前で両親を射殺され、絶望と悲しみとともに自責の念にかられるブルース。なお父親は「恐れるな」と言い遺した。

 

「正義は秩序のためで、復讐は自己満足」

 

 やがて青年となったブルースは、刑期の終了を待たずに仮釈放となった犯人の男を自ら殺害しようと銃を忍ばせて待つが、街を支配するマフィアが差し向けたヒットマンに先を越されてしまう。この事を幼馴染のレイチェル(ケイティ・ホームズ)に明かすと2回ひっぱたかれた上、ご両親が悲しむとこの言葉で諭されたのだ。また、別の場面では「人の本性は行動で決まる」とも。

 

「父の仇を討て」

「悪は倒さねばならぬ。迷わず慈悲もなく」

「重要なのは戦う意思だ」

 

  犯罪者の心理を知るためとして、当てのない長旅に出たブルース。貧しい者に施すため窃盗を繰り返し、ヒマラヤで逮捕収監されるも、秘密結社「影の同盟」のラーズ・アル・グール(リーアム・ニーソン/渡辺謙<影武者>)に救われ、彼の弟子となり、忍者を基調とした武術と精神の訓練を受け免許皆伝となった。上記はラーズの言葉だ。

 

 ラーズは、数千年の歴史を持つ影の同盟はこれまで、ローマやコンスタンチノープルなどを滅ぼし、ペストの流行や近代では経済不況という手段を使って都市を破壊し、秩序を回復してきたと。ブルースの住むゴッサムは腐敗に満ち、滅ぼす以外に修復の道はないとして、彼にそのリーダー役を命じ、かつまたその決意の証として、捕らえた殺人犯の首を撥ねるよう求めた。

 

「悪と同化はしない」

 

 犯罪者には法による裁きを、として処刑を拒否したブルースが発した言葉。影の同盟に反旗を翻し、ラーズ(影武者)との死闘を制しそのアジトを滅ぼしてゴッサムに帰還したブルース。己の恐怖の対象であったコウモリをモチーフとした正義のシンボル、「ノーガン、ノーマーダー」を信条とするバットマンとなって、街に蔓延る悪と戦うことに。ただこのヒーローは理想主義の権化でなく、悪を退け、善を勧めるシンボルとなって人々を奮い立たせるのがレーゾンデートル。ラストは、復活した影の同盟との壮絶な死闘が待ち受ける…。

 

 天才クリストファー・ノーランの手になる「ダークナイト・トリロジー」第一弾。18年の時を経ても全く色褪せない。BDで何百回観たかわからないが劇場スクリーンでの鑑賞は初で、感動は一入。ハンス・ジマーの抒情的な旋律も胸に沁み入る。109シネマズ新宿で、35mmフィルムによる期間限定リバイバル公開。「35mmフィルムは独得の味がある」と聞いてたけど、映像はデジタルの方がよかったような…。まだまだ、シロウトなんだろう。

 

(監督)クリストファー・ノーラン

(キャスト)

クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ケイティ・ホームズ、ゲイリー・オールドマン、キリアン・マーフィー、トム・ウィルキンソン、ルトガー・ハウアー、渡辺謙、モーガン・フリーマン