阿比留瑠比著「だから安倍晋三政権は強い」(産経新聞出版)を読む | 世日クラブじょーほー局

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だから安倍晋三政権は強い

 

 

 9月20日投開票の自民党総裁選において、安倍首相が石破氏に圧勝(ではないか)して、3選を決めた。向こう3年間の信任を与えられた安倍首相だが、その果たすべき使命の重さからすれば、とても十分な時間とは言えまい。拉致問題、北方領土問題、中国の軍事的プレッシャー問題、少子高齢化問題、社会保障制度改革問題、地方創生、デフレ脱却etc.…。わけても自民党の悲願でもある憲法改正である。昨年の5月3日、憲法記念日に、安倍首相は2項を残したまま、自衛隊を明記する9条改憲案をぶち上げた。いよいよ70年以上も塩漬けされたGHQ製憲法に風穴が開くのか。否、開けてもらわなければ困るのだ。これができるのは安倍首相しかいない。

 

 安倍首相は、第二次政権発足以降、国政選挙5連勝。来夏には参議院選がセットされ、自民党への逆風も予想されるが、これは政権選択選挙ではない。よほどのヘタを打たない限りは乗り切れよう。ただ3分の2のハードルは付きまとうわけで、ここがこれまでと異なる難しいフェーズだ。それはそうと、このまま行けば、安倍首相は、来年8月23日には、佐藤栄作の在職日数を超えて、戦後最長記録をマークする。さらには同年11月20日には桂太郎を抜いて憲政史上最長記録を更新する。第一次政権時の危うい政権運営や、悲痛な辞任会見を想起すれば、あの坊ちゃん首相が再登板して、ここまで大化けするとは、さすがの阿比留氏さえ想像できなかっただろう。

 

 考えてみれば、安倍氏は、祖父が岸信介元首相、父が安倍晋太郎元外相というその毛並みの良さこそ誇れるにせよ、並み居る東大法学部卒を尻目に、ご自分は見劣りする私大出身。なお小泉元首相に取り立てられ、党の要職としては若くして幹事長を務めたが、大臣経験は一度もない。第一次政権で辛酸を嘗め尽くし、雌伏の時を過ごしたからこそなのかもしれないが、第二次政権以降、アベノミクスや地球儀俯瞰外交など伝統的な概念にとらわれない天才的な発想で、わが国を国際舞台で再浮上あらしめた実績は高く評価されよう。

 

 さて、本書を一言で言い表せば、「安倍批判はそれだけか!」ということだろうか。そしてやり玉に上げられるのは、最弱野党と偏向マスコミだ。本書で取り上げられている象徴的な事例を各々一つあげるとすれば、昨年9月、北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことを受けて、日本共産党の小池晃書記局長の弁。「日本も核を持たないし、使わないから北朝鮮も放棄しろと迫ることが一番説得力を持つ」。こんな党の票に恋々とせざるを得ない野党の立場がすべてを物語るというもの。同じく鳩山由紀夫元首相の弁。「緊張感を煽り、敵愾心を燃やすより、国民に平和を与えることだ。ミサイルが飛んで来ない環境を作ることだ」…だって。鳩山氏が例え1年足らずにせよわが国の舵取りを担ったことを今更ながら空恐ろしく思わずにはいられない。このような言説には元統幕議長の竹田五郎氏の「力なき正義は無効である」(9月30日付 世界日報ビューポイント蘭)の一言で十分だろう。

 

 そしてアンチ安倍メディアの急先鋒、朝日新聞が昨年暮れ、「徹底検証『森友・加計事件』ー朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)の著者である文芸評論家の小川榮太郎氏らを相手取って損害賠償訴訟を起こしたが、小川氏らに送られてきた訴状には、「原告(朝日)は上記両問題(森友・加計問題)について安倍晋三首相が関与したとは報じていない」とあった…。処置なしというか、もはや論ずるに値しない。阿比留氏はその朝日について、「『こうなってはいけない』という姿を指し示す並外れて優秀な反面教師」だと評してみせる。

 

 ポスト安倍を考えてみるに、これだけ「緩み」や「驕り」という攻撃材料を与えても肝心の自身の支持率アップには微塵も繋げられない不甲斐ない野党はもとより、今回総裁選を争った石破氏、そして安倍さんが禅譲を目論むとされる岸田氏にしても心もとないことこの上ない。阿比留氏いわく、「安倍首相以外の誰がトランプ米大統領の指南役を務め、ロシアのプーチン大統領と友情を育み、中国の習近平国家主席や北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と対峙できるだろうか」。もっともだと頷かざるを得ないのだが、その後はどうすんねん?阿比留さんにもっとも聞きたいところだ。