映画「ニュースの真相」を観る | 世日クラブじょーほー局

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 イラクのアブグレイブ刑務所における米軍人らによる捕虜虐待の実態をニュース番組で放送し、時のブッシュ政権に大打撃を与えて、一躍名を上げたCBSニュースのリベラル派敏腕プロデューサー、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)。彼女が狙う次なるターゲットは、ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑。これを放送にこぎ付ければ、ブッシュ再選は危うい? しかしそのオンエアまでの時間はたったの5日間。それでも何でも、這いずり回ってでも、二匹目の泥鰌をモノにしたいと。いきおいそこには、青臭い正義感と功名心が頭をもたげてきて、ジャーナリズムのイロハたる裏取りが甘くなり、畢竟、主観に満ちた番組を作り上げた。

 くだんの番組は、オンエア直後こそ一大センセーションを巻き起こしたのだったが、すぐさま、さる保守派ブログで、番組が取り上げた証拠が偽造だと告発したところから一転、番組とメアリーは集中砲火を浴びるようになる。やがて番組のキャスターであるダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)は視聴者に謝罪することとなり、24年間務めたアンカーマンを降りた。そしてメアリーも退社を余儀なくされた。わかりやすい左翼の自滅パターンかなと。それでもCBS社内に立ち上げられた内部調査委員会においても意図的な偏向報道は認められず、証拠は確かに偽造だったにせよ、ブッシュの軍歴詐称は真実なんだと。これを追及するのは正義なんだと。”挫けるな、屈するな、今こそジャーナリスト魂を見せつけろ”って聞こえてきそうだが、泣こうが、喚こうが、はい、後の祭り。内部調査委員会にはブッシュ政権に近い人物が…てしつこいわぁ。所詮自業自得でしょ。ウダウダぬかさず顔洗って出直せという他ない。

 ブッシュ政権について、当方は特段思いはないが、やはり問題点は多かったろう。わけてもその反動として、オバマ極左政権を誕生させた罪は重いといえる。

 さて、美人ではあるが、鉄面皮で、信念を曲げず、上層部との衝突も厭わないやり手のキャリアウーマン、メアリー。彼女も家庭に帰れば、夫と一人息子が待つ(でも主夫かあ)。彼女がネット上の自身への「フェミナチ」や「ブス」などの書き込みに目を背け、息子に見つかるまいと慌ててラップトップを閉じるシーンは唯一、彼女も母親であることを見せつけた。ケイト・ブランシェットは、容貌もその雰囲気もメアリー・メイプス役にうってつけだったろう。ロバート・レッドフォードのナチュラルで穏やかな演技もダン・ラザー本人をしのばせた。二大スターの競演は魅力かもしれないが、そこまで力入れて作り込む作品だったかどうか…リベラル派御用達の作品?

(出演)
ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード、エリザベス・モス、トファー・グレイス、デニス・クエイド、ステイシー・キーチ、ブルース・グリーンウッド、ダーモット・マローニー
(監督)ジェームズ・ヴァンダービルト