第27回「記者を囲む会」は、コラムニストの増記代司氏を迎え、「最新メディアウォッチー偏向新聞の読み方」と題して9月14日(土)に開催しました。
まず冒頭、増氏は、自身がホームレス支援に携わった経験を語り、彼らがホームレスとなってしまった直接の原因は様々あれど、根本問題を突き詰めれば、その背後には家庭崩壊があることがわかった。結局、この問題も、保護を手厚くすれば解決するという類のものでなく、「家庭の再建」こそ急務と実感したのだと切り出した。
本論では増氏は、自身が執筆した世界日報メディアウォッチの原稿で、漫画「はだしのゲン」を扱った「共産系誌上で過激になった『ゲン』の残虐描写を小学生に奨める朝日」や、世界日報社説「18歳成人ー拙速な引き下げは禍根残す」などを解説しながら、昨今、「権利」と「義務」を履き違えた風潮が蔓延しているとし、その最たるものが、先般、最高裁判決があった「婚外子相続差別の違憲判決」だとしてこの問題を俎上に上せた。
この最高裁判決の理由として、「家族形態の多様化」があげられたが、果たしてそれは本当かと疑問を投げかけ、その上で、厚生労働省の「平成22年国民生活基礎調査」を引き、以下の数字を示した。すなわち昭和61年は、三世代家族が世帯全体の44.8%を占めていたが、平成22年では16.2%となった。それに比して単独世帯や夫婦のみの世帯が増加してきたことは事実であり、よって確かに世帯構成としては多様化した。しかし、婚外子の出生は、1995年の1万4,718人(全体の1.2%)から2011年には2万3,354人へと増加しているが、その全体に占める割合は2.2%でしかなく、現在でも97.8%は法律婚の夫婦から生まれた子どもなのであり、家族形態の多様化は断じてなく、騙されてはならないと増氏は警鐘を鳴らした。
今後、左翼勢力は、夫婦別姓、女性の再婚期間の短縮や離婚300日以内に生まれた子は前夫の子と推定するという民法の300日規定の撤廃を声高に要求していくだろうとし、その真意を国中をフリーセックス社会へと仕立てあげる序章だとして、そうさせないために、歴史と伝統に基づき、法律婚を軸にした“家族の価値”を守り抜いていく必要があると説いた。
また、婚外子の母親となるのは、19歳以下の少女が約25%だとし、これは、“予期せぬ妊娠”が背景にあり、性の乱れや、不倫が原因となっている。もし相続すべき遺産がなければ、そもそも裁判にもならないのだが、婚外子差別は、まずもって遺産相続以前に存在するのであり、結局、性倫理を正さない限り、婚外子問題の解決はないと断じた。
さらに同判決が、“遺産相続は平等が世界の潮流だ”としたのに対し、確かにフランスでは2001年の民法改正により、婚外子と婚内子の相続の差別をなくしたが、その分、配偶者の取り分を大幅に増やしたと指摘し、秋の臨時国会で、今回の判決を受けた法改正があるとしても、フランスのような配慮があるべきだとした。
最後に増氏は、同判決に対する大手紙の論調は見事なまでに横並びで、手放しの評価だった。こと「家族」という問題について論ずるときは、左の「朝日」「毎日」も、右(中道)の「読売」「産経」もあてにならないと知るべきだと斬り捨てて結んだ。