映画「ダークナイトライジング」を見る | 世日クラブじょーほー局

世日クラブじょーほー局

世日クラブ・どっと・ねっとをフォロースルーブログ。

ダークナイト ライジング [DVD]/ワーナー・ホーム・ビデオ

¥1,500
Amazon.co.jp



 “伝説が、壮絶に、終わった” 1年間待ちに待ったクリストファーノーラン監督の手になるダークナイトシリーズ3部作の完結編「ダークナイトライジング」が7月28日公開され、先日、見てきました。いやはや、まさに冒頭のことばに尽きた。

 思い返せばこの伝説は、05年の「バットマンビギンズ」に始まったが、それまでティムバートン版バットマンに目が慣れていたせいもあり、その壮大なストーリーとシリアスなヒューマンドラマをリアリズムで描き出したノーラン版バットマンには衝撃が走った。そして当事日本ではほぼ無名のクリスチャンベイルを主役に大抜擢したことも大きかった。(友人に「アメリカンサイコ」は有名だぞと言われてしまった。)彼は歴代ブルースウェイン役の中で、もっともその存在を体現したと思う。その後、ベイルはこの3部作全ての主役を務めることになるが、さらにこの間「ターミネーター4」の主役など多数の作品に出演、2010年の「ザファイター」では、これまでのヒーロー役とは似ても似つかぬ役どころ(ヤク中、禿げ頭)を演じ、アカデミー賞助演男優賞に輝くなど名優ぶりも発揮し、一気にスターダムを駆け上がった。無論ベイルだけでは、この3部作はうまくいかなかった。ベテランのゲーリー・オールドマン、重鎮ともいえるマイケル・ケイン、モーガン・フリーマンなどが脇を固め、作品に重厚感を与えた。キャスティングにおいてもノーランの天才ぶりがいかんなく発揮された。

 そして、前作「ダークナイト」。CGに頼ることを嫌うノーランが、さらなるリアリズムを追求した第2弾。ストーリーには人間の心の善と悪を映し出すとともに、その矛盾した個人の寄せ集まりからなる民主主義なるものに対する強烈なアイロニーと警告を発し、成熟した知恵ある市民社会を願うメッセージが込めれていただろうか。なにより関係者でなくともアッと驚くタイトルから“バットマン”の文字を消し去った。もうこの時点で「ライジング」のラストは予見されていたのだろう。そして、宿敵ジョーカー役の予想もしないヒースレジャーの大抜擢。本家ジョーカー役のジャック・ニコルソンが霞むほどの怪演は、見事アカデミー助演男優賞に輝くが、それは若き彼の命と引き換えとなる(享年28歳)。無念なことではあるが、彼もまた伝説となった。

 そして本作である。ストーリーはまず前作「ダークナイト」におけるハービーデントの事件の後、邸宅に引きこもっていたブルースウェインだったが、8年ぶりに人前に現したというその姿には愕然とする。この先いったいどういう話の展開になるのか皆目見当もつかず、何か暗澹たる思いだけが募っていくのだが、その反動からか、夜のハイウェイに突如として、バットポッドに跨り現れたバットマンの勇姿には思わず胸が震えた。がそこまで。

 ストーリーは実に壮大であり、エキストラの数やパトカーなど動員車両台数も半端でなく、さらに本作で初お目見えの「ザ・バット」というまさに、こうもりというかムササビ?型の垂直離着陸飛行ビークルの戦闘シーンもCGの違和感を感じさせずド迫力。また敵役のトム・ハーディ扮するベインも登場シーンは身の毛もよだつほどで、終始圧倒的な存在感だった(往年のマイク・ベルナルドを彷彿させた)。しかしクリストファー・ノーランには前作を超えなければならないという絶対命題がのしかかっていたのだろう。随所に肩に力が入りすぎたかなと思えるところが見えた。

 ジョセフ・ゴードン・レビットは確かにいい俳優に成長してきていると思うが、「インセプション」のキャスト出すぎでしょ。またキャットウーマンのストーリー全編にわたるコミットぶりは賛否両論あろう。しかし米国民の否、全世界のダークヒーロー「バットマン」の存在をここまで相対化していいのか。正直、あらゆる先鋭的な武器を駆使したバットマンのラストの活躍がもっと見たかった。

 いいや、これでいいのだ。クリストファーノーランが「こうなんだ」というのだから。文句ありません。

(出演)
クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、アン・ハサウェイ、トム・ハーディー、マリオン・ゴティアール、ジョセフ・ゴードン=デヴィッド、モーガン・フリーマンほか
(監督)クリストファー・ノーラン


バットマン ビギンズ 特別版 [DVD]/ワーナー・ホーム・ビデオ

¥4,093
Amazon.co.jp

ダークナイト [Blu-ray]/ワーナー・ホーム・ビデオ

¥2,500
Amazon.co.jp