現場の医師です。
欧米では、またたくまに感染が広がったので、手のうちようもなかった。しかし、日本は、多くの人の努力で、時間を稼いできた。その間に、イタリアなどの惨状も報道されてきた。学ぶ時間はあったはず。
それにも関わらず、無自覚な行動をして、感染を広げるのは、若者だろうが、高齢者だろうが、犯罪です。
マスクや手洗いをしないで、連絡もなく病院にこないでください。
医療従事者や、他の病気で受診している患者が巻き添えで死ぬ可能性があるのです。
いざとなれば入院すればいいとは思わないでください。ベッドも、人工呼吸器も、まもなく足りなくなります。
しかし、
「3密」を避ける。
手を洗う。風邪症状があるときはまずは自宅安静、医療機関には連絡してから受診する。
これだけです。
これだけを、今からでも、全国民が守れば、何十万人もの人が死なないで済むのです。
危機をあおるつもりはありません。ただ、油断しないでほしいのです。
勤務時間外も含めて、日々の、行動に、注意してください。
1人の油断が、大変な事態をまねきます。
皆さん、旅行、ライブ、カラオケ、パチンコ、宴会、控えてください。風邪症状があれば、出勤しないでください。食事とトイレに注意してください。
向かい合わせでしゃべりながら、食事をするのは、危険です。外食では、テーブルに置きっぱなしの食器や小皿は要注意です。トングも危険です。
サラダバーは、やめましょう。牛丼屋の紅ショウガも我慢しましょう。
いかなる場合も、洗ってない手で、目、鼻、口・・・というよりも、顔をさわってはいけません。
手指衛生は、高濃度エタノールでも、瞬間的に殺菌できるわけではありません。手指をこすりあわせて15秒は必要です。
手洗いは、せっけんで15秒、流水で15秒。
特に、患者さんの体液に触れた可能性があるときや、トイレのあとは、2回繰り返しましょう。
ポイントを言いますと、マスク、換気など既に言われている注意に加えて、「トイレと排泄物に気をつけよ」ということです。
・トイレのあとの手洗いを今以上に徹底すること。
・石鹸15秒、流水15秒、これを2回繰り返すこと。
・特に、爪先、指の間なども意識すること。
・公衆トイレを使う事が多い人は、便座などを拭くための、便座クリーナーもあるといい。
以下、一部抜粋。
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日本では、PCR検査が少ないから見すごされている、という説について、今一度、検証します。結論からいえば、そういう傾向は確かにあるとは思うけれども、それでも、やはり、日本の感染者、死亡者は少ない、というのが私の見解です。
(中略)
欧米や中国に比べて、日本では少ない。しかし、日本でも、屋形船、ライブハウス、ジムなどでは、患者の大量発生が生じている。どうしてか? (中略)
私が思い浮かべたのは、トイレと、糞口感染です。欧米や中国を旅行した人は、わかると思いますが、日本のトイレは、圧倒的に清潔です。日本人は、手もよく洗う。(中略)
エアロゾル感染よりもトイレ、と考えると、満員電車がクラスターになりにくい理由もわかります。トイレ付の長距離列車は注意しないと危険かもしれませんが。駅にはトイレがありますが、トイレに行っただけでは感染しない。そのあとに、手を十分に洗わずに飲食をすると危ない。屋形船やライブハウスは、トイレに行ったり、飲んだり、食べたり、です。飲酒して嘔吐する人もいることでしょう。糞口感染のリスクが高まることは容易に想像されます。
トイレと糞口感染を疑う根拠は他にもあります。最近の中国の論文で、COVID-19では、気道検体でPCRが陰性となったあとも、便からはウイルスの検出が続くと報告されています。エアロゾル感染は、ある程度の重症患者でないと起きなさそうですが、無症候患者あるいは、治癒後の患者でも、便にはウイルスが排泄され続けるというのは、インフルエンザでもSARSでもノロウイルスでも、エボラ出血熱でも知られている話です。無症状の”保菌“あるいは、下痢程度の患者(新型コロナウイルス感染症では、下痢する事もあります。)ならば、気にしないで、ライブにもジムにもいく可能性は高そうです。
中国からの報告では大便以外に、尿中にもウイルスが検出されるようです。感染源になるかどうかは、まだわかりませんが、尿にも注意は必要です。
私は、エアロゾル感染を警戒して、密室に多くの人が集まることは避ける、換気にも留意する、という事は必要な事だと思います。ただ、どうも、それだけでは、クラスター発生の説明がつきにくい。人が集まれば、トイレに行く人も増える。日本のトイレは、おおむね、清潔ではあるけれど、例外もある。日本人でも、トイレのあとに、手を洗わない人は、一定の割合でいる。トイレ、特に下痢、を通じて、接触感染(糞口感染)が起きたのが、クラスターの原因になってないかと思うのです。(中略)
大規模イベントの自粛、換気の注意など、政府の言っている対策は、まだまだ、徹底すべきです。エアロゾル感染はやはり怖いです。生じれば大変なことです。接触感染も飛沫感染も、人が多く集まれば、リスクは増します。しかし、私は、それに加えて、糞口感染にも、もっと注意を払うべき、日本の美点であるトイレの清潔さは、今以上に保つべき。そう思うのです。そこだけ注意、ではありません。今までの注意に加えて、トイレにも注意を、という事です。具体的には、トイレのあとの手洗いは、今以上に徹底を。トイレは、便器まわりはもちろん、ドアノブも、まず、汚染されています。そこを触った手で、十分な手洗いをしないで、飲食したり、化粧を直したり、鼻をほじったり、目をこすったり、コンタクトレンズを治したり・・・それは、ぞっとするくらい危険です。
十分な手洗いというのは、石鹸15秒、流水15秒、これを2回繰り返すことです。特に、爪先、指の間なども意識して。アルコール消毒剤を使うのもよいですが、すべての病原体に確実に効果があるのは手洗いです。外出先などで、石鹸がない場合もあります。紙石鹸か、携帯用のハンドソープを持ち歩きましょう。ジェットタオルは飛沫を飛ばすことと、汚染された内部に触れる可能性があるので使わない。手拭きは、繰り返す使うリスクを考えると、ハンカチよりも、ティッシュペーパーの方がより清潔かもしれません。
公衆トイレを使う事が多い人は、便座などを拭くための、便座クリーナーもあるといいと思います。成分にはこだわらなくても大丈夫です。マスクに次いでアルコールなどの消毒関連商品が高騰していますが、手指とか、直接口に入れるものでなければ、「消毒」でなくても、「洗い流す」「ふき取る」でもいいのです。アルコールも低濃度の場合は、消毒効果はなく、洗剤と同じく、ふき取るための効果だけになります。違いは乾きやすいことです。便座やドアノブは、なめるわけではありませんし、仮にお尻にウイルスがついても、それだけでは感染しませんから、手指の衛生ほどには気を使わなくても大丈夫です。中性洗剤をうすめたもの(水1リットルに5-10ml程度)、あるいは、車の窓ふきシートでも、顔拭きシートでも、大体、主成分は界面活性剤(+アルコール)ですので、同じことです。(洗剤(界面活性剤)は、一部を除いて、基本的に洗い流す、またはふき取るためのもので、病原体を殺す作用はないのですが、コロナウイルスは、洗剤(界面活性剤)で不活化する事が知られています。(SARSウイルスの場合のデータですが。))
---------------------- 以上、引用終わり。
○感染は、大量のウイルスが体内に入ってはじめて成立し得る。
現実的な感染対策とは、体内に入る病原体の量を減らすことである。
○ウイルスが体内に入る侵入経路は、ほとんどが「粘膜」である。
皮膚からは感染しない。(ウイルスによっては、傷のある皮膚から感染するものもある。)
○人間の粘膜で、外に露出しているのは、口、鼻、それから、目の3か所だけ。
つまり、この入口3か所さえ守れば、感染はしない。
○ウイルスが付着した手で口、鼻、目をさわったり、ウイルスが付着した手で食事をする事が原因で、接触感染が起こる。
○手袋をした手で、あちこち触ったり、目や口をさわっては意味がない。
○防護服で全身を覆うことは、着ている本人の感染予防ではない。ウイルスが皮膚や衣服に付着して外に持ち出されるのを防ぐためである。「医者や看護師はあんな重装備しているのに、俺たち患者はマスクだけかよ」というのは誤解。
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