ヴォーカルレッスンでの二人の逸材の発見・・2 | アカデミー主宰のブログ

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あっという間に時間が過ぎて17時半過ぎには、次のレッスン生がやってきました。2週間に1回やって来るフォークの好きなレッスン生でした。この方も3月頃からレッスンに取り組んでいるのですが、段々意欲を見せている方でした。ギターも弾く方で、私のFM番組も聴いているようで、楽典のことを理解していました。分からないことを毎回聞いてくるので、そのことが分かるのです。最初は、職場の飲み会のカラオケで歌うことは全くなく、歌えるようになりたいと話していました。レッスンをしていく中で、この方は一般の人とキーが著しく違っていると感じました。物凄くキーが高く、一般のカラオケは、これでは歌えないのは分かりました。最初はヴォイトレを中心にしてレッスンをしてきました。ギターを持参してフォークの曲に挑戦したこともありました。前回は、震災復興ソングをヴォイトレをしながら課題として設定したら、レッスン後には、キーを下げることなく原調で歌えるようになりました。私も、この楽曲を、高いキーの原調で歌えるのは素晴らしいことだと思っていました。
今日は、今までと違って演歌のバラードの曲を選曲してきました。この楽曲は、女性の歌手が歌って大ヒットした曲ですが、余りに低いので、男性の作曲者兼歌手のキーで歌うことにました。このキーは女性のキーより6個高いキーでした。歌ってみたら、このキーでも低いと言うのです。更に1個上げたキーで歌ったら、何と見事に歌うことが出来たのです。まさかこんな高いキーで歌えると思っていなかったので、私はびっくりしました。話したら車の中では、女性のキーをオクターブ高くして歌っていたそうです。今までキーが高い方だとは思っていましたが、これほど高いとは思っていませんでした。
さらに歌手の男声のキーを1個上げて歌ったら、声の質ががらりと分かって、ハイトーンの響きになりました。テンポ感や音程は完璧です。細かい音符や「こぶし」の個所はいいとして、素晴らしい歌声になりました。女声が歌う楽曲とは全く変わって、男声のハイトーンの力強い響きになりました。それに加えてこのレッスン生は、独特に自分の「こぶし」も持っているようです。子音の発音は、メリハリが効いて素晴らしいのです。結局歌手の男声のキーを1個上げて、女性のキーからすれば7個上げた状態で、見事に歌うことが出来たのです。キーの設定によって、これほど声の響きが変わるとは思いもよらなかったので、私にとっては新たな発見に繋がりました。
職場でカラオケを歌ったことがないので、歌えるようになりたいと話していたのですが、これではどこに出しても恥ずかしくないし、職場で歌っても、一番上手になるのではないかと思えるほどの歌唱になったのです。この方はカラオケが歌えなかったのではなく、自分のキーに合った歌に出会えなかっただけなのです。「みなみこうせつ」などの高いキーのフォークが好きな理由も納得しましたが、この方はフォークばかりでなく、どんな曲でも歌えることが分かりました。キーを、高い男声の歌手より更に1個上げたことで、歌唱の響きが変わり豊かな歌唱力になったことも感じられました。サビの部分は腹筋の力による、さらに豊かなボォリュームが欲ししと感じた位でした。私はこの方は、職場でカラオケを歌ったら、一番上手だと拍手を貰えるのではないかと思うほどでした。上手に仕上がったのでMDに収録してみましたら、さらにそのことがはっきり分かりました。次回からは自分のMDを持参して貰い、仕上がった曲を収録してあげることにしました。
この方は、カラオケが歌えない方ではなかったのです。単にフォークの曲だけを歌う方でもなかったのです。どんな曲でも歌える豊かな歌唱力への可能性を秘めた方だということが分かったのです。音感も良く、楽典についてもきちんと勉強しています。私の指導にも信頼してついて来てくれるようです。今まで声が出ないのではと思っていたのが、逆に物凄くキーが高く、ハイト-ンの響きが素晴らしいのです。ただそれだけのことだったのです。高いキーの楽曲は、何でも歌えるようになると感じました。歌心もあるし、歌の雰囲気も感じられました。音楽学習に取り組む姿勢も謙虚で、確実性があります。私はこのレッスン生は、ある意味で逸材ではないかと感じました。
談笑の中で、前回指導した震災復興ソングを、自分たちの集まりで、原調で歌ったと話していました。自分の場所で実践して確かめている方だと感じたし、確実に音楽が育っている方だと感じました。
今までカラオケが歌えなくて悩んで、私のスタジオにレッスンに通うようになった方が、何と素晴らしい個性の声を持った、豊かな表現力のある方だと知って、私は本当に嬉しくなりました。
今まで何十年も音楽がダメだと思っていた方が、やはり歌えるようになりたいと思い続け、努力した結果、何と素晴らしい才能を持った逸材だと知ったら、本人はどう感じるでしょうか。私は、少なくともこの方の歌唱の豊かな表現を聴きながら、そのことを強く感じたのでした。また人間の可能性を見出した喜びに包まれていました。
本当にどこに、どんな可能性があるか分からないものだと感じました。カラオケのキーは1個違っただけで、また違った世界を見せてくれるのです。私はそのことを、驚きをもって受け止めていたのでした。
このレッスン生にも次回からMDを持参してくるように話し、談笑して1時間以上のレッスンを終了し帰っていきました。
音楽を指導して、これまでにこれほど嬉しい心境に包まれた日はなかったかも知れません。今日は二人のレッスン生に接し、二人とも素晴らしい逸材だということを確信することができたからです。どちらも個性があり、豊かな表現力をもっていました。さらに磨いて行けば、もっともっと豊かな表現力が身に付いていくことでしょう。
そのことを知ることができただけも、指導者として本当に幸せだと感じました。もしかしたら指導者の仕事は、雑多な岩石の中からダイヤモンドを探す仕事なのかも知れなないと思いました。
レッスンが終了し、私は明日のステージの準備完了を宣言し、家に帰りました。今日は時間が押して、風呂やサウナに行けなかったので、スタジオで柔軟体操をしてから、声出しは行わず、家の風呂を沸かして入りました。
いよいよ明日は仙南の町まで出かけてのステージがあります。準備は全て完了しました。今日レッスン生から学んだことを胸に、実践活動を通して「音楽に恩返しする旅」をこれからも続けていきたいと思いました。レッスン生からの教えが私の宝になり、それが心の支えになり、どうしたわけが不思議なほどの自信が湧いてくるのです。
「実践こそは全て」を胸に、レッスン生のような新鮮な気持ちで、ステージに立ちたいと思いました。