初めての御捻り・・朝市ライブでの出来事 | アカデミー主宰のブログ

アカデミー主宰のブログ

仙台ミュージカルアカデミーの旬な日常情報をお届けします。
HPには更新が面倒で記載できない、日々の出来事情報を織り込みます。ご期待下さい。
ライブ動画も掲載しました。検索は、ユーチューブで「仙台ミュージカルアカデミーライブ&発表会、花は咲く 荒浜」です。

イメージ 1

イメージ 2

 朝の仙台平野の中を朝市の開催されている閖上の浜に向かって走らせていました。朝市のライブは、私の毎週の課題になってしまい、雨の日も風の日も休むことなく続けてきて早1年が経過しょうとしています。毎週通る街道筋の景色も見慣れたものになりました。
 毎日猛暑の中、先週は全く意識しなかった緑の田園が、昨日は見事な黄金色に変わっていました。先週も通ったのに、秋は、見事なまでに錦色の景色を、この田園に創りだしていたのでした。猛暑続きで、しかも毎日忙しく過してきた私でしたが、初めて出会った秋色の景色にしばし感動してしまいました。
 先週も同じ道路を通って閖上げに向かったのに、そんな意識は持たなかった。突然訪れた秋色の景色、秋は物凄い早さで大地を覆い尽くしていたのでした。まさに秋色の黄金の絨毯に変貌していたのでした。

 つい先ごろ、といっても5月頃、田園に水を張り田植えをしたばかりだと思っていたのに、すっかり大地には、たわわに実った豊かな稲穂が、錦色に輝きながらどこまでも広がっているのでした。そういえば、もう数カ月も経過しているのだ、時間の流れの凄さと、豊かな実り、農作物という富をもたらす大地の力に、改めて驚きの実感を抱いたのでした。それほどの見事なまでの黄金の絨毯の広がりを感じながら、閖上げに向かっていたのでした。
 平野はどこもすっかり色づき、街道筋の両側に広がる緑の稲穂は、いつしか遥か彼方まですっかり秋色に変貌していたのでした。

 ああ、毎日猛暑の中を、必死に課題に取り組んできた自分を思いながらも、時はすでに9月に入って、秋風が流れ、この1週間ですっかり秋色に景色を変えていたのでした。時間の流れの凄さを感じながら、秋は忍び寄るように訪れるのではなく、一気に景色を変えていくものだと実感したのでした。
 朝から猛暑でも、季節は収穫の時期を迎えているのです。秋は足早にやってきているのです。私の夏も、毎日必死に過した日々を重ねながらも、終わりを告げ、季節を追いかけるように秋に向かっているのだと、今自分の立っている時間的な地点を改めて感じさせられたのでした。
 スタジオを準備し始めて数カ月の時間の流れの重さと、自分の周りの状況の変化を、突然訪れた季節の景色の変貌の中に映し出されたように思われたのでした。

 閖上の朝市は、先週の「さんま祭り」とは打って変わって、静かな混雑を見せていました。猛暑で日差しは厳しかったので、日陰に入ったら海風が流れ、気持ち良さと心地よさが同居していましたが、そこでライブを始めるわけにもいかず、日差しの中でのライブを始めていました。
 たくさんの人々が行き交う中での演奏は、弾き始めが肝心であるということは、これまでの経験で知っていました。気持ちに余裕がなかったり、凹んでいるときは、最初の演奏に気持ちが乗らず、弾き始めは勇気がいるのですが、自分の気持ちが周りの空気と一体化しているときは、音楽のイメージが湧いてきて、そのまま音楽に伝わっていくような気がします。昨日も湧きあがってきたイメージで、最初の数曲を演奏し始めていました。
 演奏する曲目は予め決めているわけではなく、その時のイメージで始めるのです。今までこの数カ月は、最初に「また君に恋してる」から演奏に入っていました。
 昨日は、その時のイメージで「石巻の女」「北国の春」「瀬戸の花嫁」「ああ上野駅」などオープニングで演奏しました。ノーストップで次々に演奏していましたが、突然良さ気なおじ様が、私の傍に寄ってきて、お金を机の上の荷物の下に挟んでいったのです。
 一枚の札を荷物の下にはさんだのが分かりましたので、演奏中でしたが、要りませんからと合図したのですが、そのおじ様は、ありがとうと言って過ぎ去ってしまいました。
 その間数秒、演奏を止めるわけにもいかなかったものだから、演奏しながら頭をさげたのです。
 朝市ライブを始めて約1年、これまで差し入れは何度となくあったものの、札をくれるなんて思いも寄らなかったものだからびっくりしましたが、そのおじさまはお金持なのか演奏を聴いての御捻りなのか、私には初めての体験でした。
 何もお金を頂きたくて演奏しているわけではないのに、周りの人々は聴いてくれているのだと改めて実感したのでした。
 それからも約1時間以上、ほとんどノーストップで演奏を続けましたが、炎天下の中、汗でびっしょりになりました。
 また、いつも来てくれるおじさんが、今度私のスタジオに音楽を習いに行くからと言ってくれたり、他のおじさんは、三味線を習いに今週の水曜日にスタジオに来てくれることまで約束をとってくれたり、様々な新しい出来事がありました。
 毎週来てくれるおじ様や観客の方々も、演奏が終わる度に拍手をくれたり、確実に状況は今までとは変わってきていると感じました。秋ではないけれど、状況は、ある日突然に変化するのですが、それまでには、様々な積み上げがあるのだと言うことを実感したひと時でした。
今日の「御捻り」も、スタジオに習いに来るおじさんとの「アポイント」も、1年のライブ活動の積み上げの結果なのだと思われるのです。
 ライブ活動を積み上げてきて、本当に良かったと思えるひと時でした。時には行きたくない時、気持ちが乗らない時もありましたが、とにかく日曜は、朝に閖上に行くことを実践してきた結果なのだと思われるのです。指の感覚がなくなる寒い冬が、一番辛かったです。

 スタジオができ、本格的な音楽活動が始動しようとする現在、もうライブ活動を止めようかと思う時もあるけれど、今日の結果を思えば、やはり人々に、生の音楽を届ける仕事は私のライフワークだと思い直し、続けていこうと思うようになりました。

 閖上から仙台港に向かう広大な田園、仙台平野は、来た時と全く違った道路を通っているのに、朝に見たような美しい黄金色の絨毯が、遠く奥羽山脈の山端までどこまでも広がっているのでした。
どんなに忙しく、日々の暮らしの中に季節が見えなくても、仙台平野にも確実に秋は訪れていたのでした。