その他には昨年秋から、毎週日曜に朝市に出かけ、今まで欠かさずライブ活動をしてきました。また様々なイベントへも積極的に参加し、これまで区民祭りや市内の音楽祭、七夕祭りなどへの出演、介護施設へのボランティア活動などを進めてきました。
しかしそれらの音楽活動や音楽指導は、あくまでも目的ではなく一過性のもので、かねてから自分が経営する「ライブハウス」や「音楽教室」などを立ち上げてみたいと思っていました。
差し当りの資金としては、退職金を充てることにして、この一年近くの間様々な「物件」を探してきました。条件としては、100万都市仙台のどこからでも来れるような場所、アクセスがいいこと、広さは個人指導ばかりでなく、グループ指導も可能で大きな音を出してもよい場所です。広さは、本当は教室程度の広さが欲しいけれど、若干狭くても、それらの活動が可能な広さを求めていました。
条件を考えれば、仙台の中心部分がいいのだけれど、家賃が高いことで足踏みをしていました。JR駅や地下鉄に近い場所で、さらに繁華街にも近い場所が最高なのだけれど、なかなか適当な場所がありませんでした。
友達が骨を折って方々探してくれたのですが、未だ全ての条件をクリアする物件が見つかっていないのです。
理由を考えてみると、この「ライブハウス」や「音楽教室」を具体化するのには、どうしても財政的な難しさが考えられます。家賃は、中心部であれば結構高く10数万円に共益費で約20万円弱かかるのです。それに対し、収益と言えばレッスン料とイベント企画でのお客の参加料だけです。果たしてそのような事業だけで、月々の20万円弱の必要経費を生み出すことができるかということなのです。
現在は不況の真っただ中で、空きテナントはいっぱいあります。でもこの家賃については、このように結構高く、事業を立ち上げ継続していくための経済性、採算性が、今の時代では追いつかないのではないかということなのです。
これは大きな矛盾です。「音楽教室」は、それほど高くレッスン料はとれないし、現在の社会では、極限にまで抑えられているのが現状なのです。
生徒は安いのが当たり前とばかりに、安い教室に群がりますし、この程度のレッスン料では、いくいら生徒の数を増やしても、採算性が合わないような気がするのです。決して大きな儲けを狙うわけではないのだけれど、維持するための経費を稼ぐだけで精いっぱいなのではないか、儲けるどころではない、そんな状況が、具体化の足を押しとどめているのかも知れません。
本当にこのような不況の状況で、レッスン料が極度に押さえられている状況の中では、家賃等の必要経費さえも捻出することが厳しく、具体化を躊躇せざるを得ない状況があるのです。本当に今の時代の矛盾なのです。
「お店」を出したくても、デフレの影響か、値段を高くできない状況で、お店の採算性の見通しを確保することができない状況なのです。
私の場合、現在様々な教室を実践し、生徒は増える傾向にあります。独立して事業を立ち上げるなら、今しかないと友達はアドバイスしてくれます。私も確かにそう思って今までがんばってきました。
でも条件内で見つかった物件を検討してみても、立ち上げるための財政的な裏付けは、現在は「退職金」があったとしても、今後の展開していく中での採算性が、やっぱり見通しがもてない今の現状があるのです。
それほど日本の音楽学習のための生徒側の学習費用が、社会全体で押さえられ、指導者の「指導力の価値」が、これ以上低くはできないというほどに押さえられているのです。これは、大学でもカルチャーセンターでも皆同じような状況です。公務員としての学校の先生が、賃金・報酬でもしっかり守られているのとは大きな違いなのです。それも余りにも違い過ぎるのです。
世の中では、湯水のように税金が使われていたり、天下りの系図の中で莫大な国家予算が使われているというのに、何と情けないことではないでしょうか?
生徒数の確保も、指導者のやる気も、その他の全ての条件が整っても、実際に立ち上げた場合の採算性の見通しが、確保できないのが今の日本の文化・経済状況なのです。本当に情けない国、情けない文化状況なのですね。
今は日本社会のあらゆる分野でデフレの傾向が進み、経済は破たんしている状況なのはみんな知っている通りです。
特に現場の人間は大変です。中小企業も含めて、「仕事」そのものが無い状況が続いているのです。政権は大きく転換したものの、ますますひどくなる経済状況、一人ひとりの国民は、ひしひしと感じているのではないでしょうか?
たかがささやかな「ライブハウス」「音楽教室」の具体化の願いが、今の経済、文化状況の中では、立ち上げることさえもできない状況なのです。
私は、これまで数十年に渡って、目標をもって生きてきましたが、ささやかなそんな夢さえもかなえられない今の日本、いったいこの先どうなってしまうのでしょう。
このままつましい生活でやっていくことも可能でしょうが、やっぱり一度だけの人生だから、自分の思いや願いを実現できる社会であってほしいのです。
こんなささやかな願いを実現するために、これからも奮闘していくけれど、何とか夢が実現できるような社会であってほしいと思うのです。
音楽、されど音楽なのです。人々に夢や勇気と希望を与えることのできる音楽活動の「場」の立ち上げが可能になるような、そんな日を目指してがんばっていきたいと思うのです。