大晦日の「紅白歌合戦」ですが、今回は全く観ないで過ごしました。今までなら音楽関係の仕事をやっている関係上、必ず観てきましたが、今回は紅白の人選や選曲など、事前に様々な話題が流れていました。決まった人選にしても、あまり納得するものでもなく、すっかり時代によって様変わりして、もう観続けることができないと思うようになりました。
自分の中でも、前のような熱気が感じられなく、今回は、何か自然に紅白とは違うチャンネルを回して、「紅白」には全く興味もなく、何も気持ちも動かないでいたのです。
結果的にも、後からYouTubeに流れてくる様々な動画を見たりしながら、結果的に観なくてもよかったんだと、自分を納得させています。
一番先に思ったのは、「紅白」に選ばれた歌手が、自分の歌を歌うことができないで、昔の他の方のヒット曲を歌わせられた人たちが、何人もいたと言うことでした。
歌手にとっては、それは一番の屈辱的なことではないかと思いましたが、それでも、「紅白」に出られるだけでも、それ以降の1年間の営業成績やギャラに、大きな違いになると言うという打算的なことで納得した方もいるのかなとも思いました。
打算的に納得できても、歌手本来の姿としては、精神的には屈辱的なことではないかと私は思いました。
私は、そういう経験があるので、その気持ちが痛いように分かるのです。私はそういった場面に出くわしたときに、やはり屈辱的な自分を納得させることができず、その仕事を思い切って辞めることに決心したことがありました。
今思っても、その屈辱的な気持ちに逆らわず判断して、辞めて本当によかったと思っています。
ところがプロの歌手たちは、そこで他の人の歌を歌ってステージに立たざるを得ないと言う厳しさを感じましたが、 そのことを通して、NHKの企画の虚構性が、現実の世の中を反映していないと言うことをつくづく感じました。
もう一つは郷ひろみのステージです。荻野目洋子とのコラボで再ブレイクの大ヒットになった登美丘高校のダンス部の演技ですが、郷とのコラボさせたNHKの企画の虚構性には、驚くほどの犯罪性があると思いました。
この高校生のダンスの素晴らしさは、あくまでも実践の中で荻野目とのコラボ中で作ってきたものです。やはり実践的に積み上げてきた結果としてのステージを、NHKの晴れ舞台に載せるべきだったのではないかと強く思うのです。
郷とのコラボをさせて1つの素晴らしいステージを作り上げようと考えてたNHKの目論見は、全国のYouTubeの反応から見ても明らかなように、完全に裏目に出てしまった感じがするのは私だけでしょうか。
郷の歌唱力がダメだとかと言うことを言ってるのではありません。あのステージでは、やはり実践的に裏付けられ、積み上げてきた成果、取り組んできた人々たちの姿を出すべきだということを強く思うからです。
そういったNHKの企画の虚構性を、今回はいろんなところに見られたのかもしれないと思いました。もしかしたら数限りないくらいあるかもしれませんが、私は逐一観てこなかったので、リアルタイムで見てこなかった立場として、他のことについては触れないでおくことにしましょう。
この数年の「紅白歌合戦」の変節振りは、もう昔のように熱気あるものがなくなったと感じる中高年以上の人には、すっかり気持ちも心も離れてしまっていると言うことを言わざるを得ないと思いました。
本当に今のような「紅白」では全く話になりません。中高年の世代の方々が、本当に1年の最後にふさわしい素晴らしい歌手たちの、実践に裏付けられた自分の楽曲での素晴らしい歌声を、本当は聴きたかたかったのではないでしょうか。
このままではNHKの「紅白歌合戦」も、近いうちに全く人々の心から離れてしまって、視聴率がガタ落ちになる事は間違いないことだと思います。
NHKの紅白歌合戦の企画スタッフの方々の責任は、本当に重いのではないかと思いました。
音楽活動に取り組む立場からは、やはり1番は人選です。様々な裏取引や許しがたい裏工作があるようでは、行く末が案じられてならないと思います。
そろそろ本来の音楽活動の視点を取り戻し、すべての国民の気持ちを反映した、特に中高年にも支持されるような「紅白歌合戦」を、それこそ死に物狂いで、企画して実践してほしいものです。
今回は紅白歌合戦を観ないで、本当に良かったと思ってる私です。
そういった思いを抱く国民の方々もおそらくたくさんたくさんいたのではないかと確信しているからです。
「紅白歌合戦」の本当の国民的な視点からの再生を、心から願うものです。