昨日は、午前に「フランク永井唄コン」を目指す2件の個人レッスンと、午後は「思い出の歌、みんなで歌う会」があり、
盛り上がって無事終了しました。
「歌う会」の歌唱指導曲は、今回も「麦の唄」で、大体を全曲通して歌えるようになりました。
なかなか難しい歌で、自分だけでは覚えられなくて、「麦の唄」だけを覚えにやってきた方もいました。
通して歌うには、結構大変ですが、今回は全部通して歌えるまでになったのは、良かったと思いました。
中に、大正琴を勉強している方がいて、大正琴で弾けるようになりたいと思って、そのノウハウを教えてもらいにきたのかも知れないと思いました。
ノウハウを教えるのはいいのですが、大正琴で懐メロを勉強している程度では、「麦の唄」は無理なのです。
歌だけならば、ピアノ伴奏で音取りをすれば、大体覚えることができます。でも楽器となると、物凄く大変なことになるのです。
ハ調で楽譜を読める程度ではダメだからです。
以下、楽器で演奏できるようになるための、ノウハウを伝授しますが、一つ一つが奥深い内容なのです。
まず、音楽は、音階が基本になって出来ていることを知ることです。世の中には、「平均律」と言って、24種類の音階があることを学びます。
バッハの時代に確立された、全世界に共通する音楽の原理です。長調が12種類、短調が12種類、合わせて24種類の音階、
これが「平均律」の音階の全てです。
さらに音階の原理を学ぶ必要があります。長調と短調では違います。「麦の唄」は大体が長調です。
それを理解した所で、使われている音階を、楽器で覚える必要があります。ハ調とは違った音階を覚える必要がるのです。
「麦の唄」は変ロ長調とロ長調です。その音階を実際に覚えます。
次は、楽譜の読み方です。その調で、階名で読むことです。それがソルフェージュです。
♭2個の音階ソルフェージュ、♯5個のソルフェージュが必要です。
これが出来上がった段階で、実際に楽器を使って練習するのです。
繋ぎの部分にある、転調の部分のソルフェージュは、さらに難しいですが、これも必要です。2回ほど転調するので、そこも理解する必要があります。
これが全て出来て、楽器が弾けるのです。
でも、一つだけ略式で演奏する方法もあります。キーボードのトランスポーズ機能を使う方法です。この機能は、ほとんどのキーボードやデジタルピアノには備わっています。
生ピアノやアコーディオンにはそれがありません。大正琴にもそれはありません。ほとんどの生の楽器には、その機能はありませんので、あるのはキーボード周辺の楽器だけと言ってもよいです。カラオケでの、キーコントロールの役目を果たします。
そうすれば「麦の唄」をハ調の鍵盤で弾くことができます。
楽譜読みは、その調で読んでいくソルフェージュは重要ですが、その階名をハ調で弾いていくのです。トランスポーズ機能を使い、変ロ長調は2個、ロ長調は1個、キーを下げるだけです。
ただ音楽の流れで、瞬間的にキーが変わっていくので、キーの変換には、熟練が必要になります。さらに繋ぎの部分の演奏の仕方は、かなりの楽譜の読み変えが必要になります。ここも難しいです。これは個人指導を受けるしかないほど難解な内容です。
とにかくトランスポーズ機能のある、キーボードなら、比較的簡単に弾けるようになりますが、やはり音楽の勉強は必要になります。
「麦の唄」は、楽器演奏者泣かせの曲と言ってもよいほどです。ピアノ演奏者も即興で弾ける方は、1パーセントいるでしょうか。
それほど難しい楽曲です。
私も、自分の周りに、自分以外で、「麦の唄」を弾ける方はいないとも考えています。いれば会ってみたいとも思えるほどです。
アコ演奏者では、まず皆無でしょう。実際のアコ演奏者が、極端に少ないからです。
でもアコの演奏は、音階の構造を覚えれば、比較的楽に演奏出来るかも知れません。
アコには、魔法の伴奏ボタンがあるからです。その意味でアコは」魔法の楽器」かも知れません。
とにかく、何でも良いから、楽器で「麦の唄」に挑戦し、音楽の構造の深さを味わって欲しいものです。