2024年 年頭ご挨拶 | 仙台空手道クラブ志道館のブログ

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「仙台いずみ空手サークル」の団体名称で、平成25年1月から平成27年4月まで活動してきました。
平成27年5 月からは団体名称を【仙台空手道クラブ志道館】と改めて、全空連スタイルの空手道を稽古していく団体に生まれ変わり、活動しています。

2024年。令和6年。

新しい年となりました。


皆様、新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


毎年恒例でありますが、年頭にあたり団体長として所感を述べさせていただきます。このブログ愛読者の皆さんへの決意表明であるとともに、当会メンバーへの訓示として、毎年必ず年頭所感を投稿しています。


とくに当会メンバーの活動目的や、活動意識のベクトルが別次元へと進まないように、私は毎年必ず投稿しています。武道とは、己れの人格向上・人間完成へと近づくことを目的とするものです。また武道修業とは、「 道の師匠から教えを賜る機会 」です。この当たり前の思想・思考を、当会メンバーは意識の最前線に置くようにして下さい。


武道修行の世界において、絶対にしてはいけないことは、面従腹背(めんじゅうふくはい)です。表面上は同意して従っているフリをつくろうが、しかし心の奥底では自分の個人的な欲得を満たすことだけに執着する在り方。それが面従腹背です。礼節を第一とする武道の世界では、絶対にしてはいけないことです。


当会は、段級取得のための資格学校ではありません。もう何度となく公言してきていることです。当会のことを段級取得のために都合がいい場所だと考えて、自己の欲得実現のために面従腹背で通ってくる・・・という在り方は、少なくとも当会においては絶対に容認しません。


私は当会の活動目的や思考の基軸を、つねに明快に言語化し続けています。当会で地域活動をしていくならば、心や思いを一つにしていただかなくてはなりません。そういう意味で今年も、当会の年頭所感を述べさせていただきます。




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①発芽(はつが)し始めた2023年

    まず昨年、2023年(令和5年)を総括します。当会にとっての2023年は、まさに「 発芽し始めた年 」でありました。昨年は部内黒帯の取得が6名(※ 4月に2名、7月に3名、11月に1名。)、公認段位の合格が2名(※ 4月に2名。)。まさに長年の修行が結実して、昨年は一気に黒帯稽古会員が増えました。白帯で空手道修行をスタートして、そして5年がかり、6年がかり、7年がかりで稽古出席を積み重ねて、そして審査に合格して段位(黒帯)へと至る。


    その次元に至るのは、並大抵の努力では不可能です。まずもって毎週土日、土日に当会通常稽古への出席を5年以上も続けること自体が、スケジュール調整をはじめとして大変なことです。さらには、毎週ただ稽古出席すればいいというものではなく、緑帯以上の上級帯になると、「 周囲のお手本 」となって物事への思考や立ち居振る舞い(メンタル)まで、昇級要件に入ってきます。もちろん心の成長だけでなく、空手道の技術習熟面(テクニカル)や、帯色にふさわしい体力面(フィジカ)のことは、改めて書くまでもないことです。

    昨年の黒帯取得者6名は、幾多の困難や自己課題を乗り越えて、その帯色に到達したのです。くり返しますが、これは並大抵の努力では到達することは出来ません。そういう意味でこの6名には、尊敬の気持ちをこめて、「 よく頑張ってきたね。君はエラい! 」 と称賛したいと思います。


    そして昨年の年初にも増して、今年は黒帯予備軍となる稽古会員の人数が多いのです。黒帯到達者ラッシュの予感すらあります。

    つまり昨年を、目に見える発芽が始まった年とするならば、今年2024年は地面から出てきた芽が、さらにグングン伸びていく一年になる。そういう予感、、いや確信が、いま私の胸の中にあります。


    当会は丸11年間のキャリアを経て、今年は活動12年目になります。どんなに大変であっても、この地域活動をやり続けてきたことの成果が、昨年ようやく目に見えるカタチで発芽したのです。そして今年はその発現した芽が、さらに伸びていくのです。甘えることなく、伸びていけるように、修行を続けていかなくてはなりません。


    今年の当会のキーワードは、「 延伸(えんしん) 」です。心技体、すべてのジャンルで稽古会員の全員が、延伸していってほしいと願っています。

    この私の思い・期待を現出させるために、2024年の年初時点における指導スタッフと黒帯会員は、どうか『 あるべき姿 』に徹するようにして下さい。指導スタッフと黒帯会員には、立場の役割として、帯下の仲間を引き上げる という責任が必ず伴なってくるのです。年頭にあたりこの点を、強くお願いしておきます。




②今年の目標設定は?

    武道修行の世界に、我が身を投じることの意味、意義。つまり、目的。これについては、私は日々のブログ書き込みや道場稽古での訓話で、明快にしてきているつもりです。例示する事例はさまざまですけど、言わんとしていることの中身は一貫してきているつもりです。


◆人格向上・人間完成


人格向上の具現とは、自分自身がやる隣人愛の実践。


    このことについては2日前(※ 2023年 大晦日)のこのブログに長々と書きましたから、今日のブログで同じようなことを書くことはしません。

    私が2024年の年頭にあたり、当会メンバーに伝えたいことは、「 目的へと至るために、近未来の『 目標 』を自分で決めて、日々の通常稽古・自主トレをやりなさい 」 ということです。人間が成長していくためには、頑張れば実現できるかもしれない水準の、今の自分でも手が届くかもしれない次元の目標設定をするほうが、日々の取り組み姿勢が良質になるのです。


    目的と目標は、意味が異なるものです。しかしその両方が必要です。目的を実現するためには、近未来の到達目標が明瞭であるほうが、早く正しく到達しやすくなります。


    例えば岸田首相が、その立場の使命・責任として 「 日本経済の持続的発展 」 を政策目的にすることは、至極当然であると思います。目的としては、まったく正しいです。

    でもそれは、いわばスローガンです。たんに政策課題や取り組みの方向性を述べているに過ぎません。その目的を現出させるためには、具体的に何をやるのかを明確にしなくてはならないのです。その具体策が賃上げであったり、各種の減税であったり、さまざまな補助金などの取り組みでしょう。


    それらの取り組みが、近未来という時間軸の目標です。賃上げそのものは目的ではなく、日本経済の持続的発展という目的の実現基盤をつくるための打ち手( = 手段、目標)として、賃上げがあるわけです。


    上記と同じように、遠大な目的に至るためには、近未来という時間軸での目標設定が必要になるのです。目的は目的としてブレてはいけないのですけど、短期または中期の達成目標があるほうが、より本来の目的に近づきやすくなるのです。

    そういう意味で稽古会員の皆さんには、「 2024年の年末に、自分はどうなっていたいのか? 」 という目標設定を、ぜひしていただきたいと願っています。




③形は文法、乱捕は作文

    日本体育の父であり、講道館柔道の創始者であられます、嘉納 治五郎(かのう じごろう)師範。日本武道の原点・源流は、まさに嘉納師範そのものです。武芸や武術を、「 武道 」という人の道へと発展・昇華された、近代日本の大偉人です。

    その嘉納師範は柔道の実技指導において、こういうお言葉を発せられています。


「 形は文法、乱捕は作文 」


    身体操作の理論・理屈、微細なコツといったものは、そのほとんどが形の中に集約されています。形は基本であると同時に、奥義が集約されたものです。形の反復練習によって理論・理屈を学び、そのコツを自分の身体で習得する。それをやらなければ技法として成り立たなくなります。このことを意味する言葉として、「 形は文法 」 という教えを発せられたのだと思います。

    そして、「 乱捕は作文 」 というお言葉。乱捕(らんどり)とは、今の空手道の言葉に置き換えると、自由組手になります。つまり形で文法を学び身につけたのならば、その文法を使って、自分で作文できるところまで修行を前進させなさい・・・という教えであると思います。


    形と組手は、これはもう当たり前に、形のほうが稽古課題としてより重要です。文法をわからずして、言語は成り立ちませんから。でも形(文法)だけをやっていれば、自由組手(作文)ができるようになるかというと、これもまた考えるまでもなく答えはノーです。

    まず基本動作を徹底反復して、その基本を形として身体表現できるようになって、さらに自由組手でも基本を体現できるところまで、自分の修行の段階を前進させていくこと。文法がとにかく最重視されることは間違いありませんが、文法だけで終わるのでは不十分。作文を自分でできるところまで前進していかなければなりません。


    もちろん安全性の工夫や配慮が不可欠です。生まれつきの身体事情や、その人の稽古の習熟レベル、その当日の体調。年齢、性別、体格、メンタル、目的意識などの要素。それらについて、もう徹底的に配慮がなされていなくてはなりません。

    で、その徹底的な配慮をしたうえで、空手道という種目であるならば、組手稽古をしていかなくてはなりません。審査科目の中に自由組手があるのですから、この科目についての練習をしないわけにはいきません。


    とくに今年、または来年に公認段位審査へチャレンジを予定している稽古会員は、自由組手の審査用稽古(※ 競技大会用ではなくて、段位審査用。)をもっともっと反復することが必要です。今年は黒帯到達者ラッシュの予感・・・と私は上記①で書きました。しかし、こと自由組手審査だけに限って所感を述べるならば、当会の今の現状は5合目あたりまでしか登ってこれていません。

    対象となる稽古会員は、もっともっと自由組手をやっていきましょう。これは当会の中の対象メンバーが直面している、喫緊(きっきん)の課題です。




④気持ちを切らさないことの大切さ

    昨年は3月にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)があり、侍ジャパン(← 全日本チーム)が世界一へと輝きました。日本社会は野球一色のようなムードになり、大いに盛り上がりました。

    そのWBCを終えた3月末に、日本のプロ野球のペナントレースが開幕しました。私がスゴいな・・・と感じたのは、日本のプロ野球にたずさわる運営側・指導者・選手・下支えスタッフの方々が、WBCの余韻にひたることなくNPB(日本野球機構)の興行や試合に、すぐに全精力を注いで取り組んでいったことです。


    セ・リーグでは、新任(再任)のタイガース・岡田監督の絶妙なる選手配置の工夫もあり、そのタイガースが38年ぶりにリーグ優勝。さらには日本一に輝きました。

    セ・リーグにおいてタイガースを苦しませたライバル球団は、広島東洋カープです。カープは新任監督であり、青年監督の新井 貴浩(あらい たかひろ)監督のもとで、まさに「 台風の目 」となり続けました。徹底的に首位・タイガースを追いかけ続けました。

   日本シリーズではタイガースとバファローズが、球史に残るような熱戦を7試合も繰り広げました。そうしてプロ野球界は、近年にないほどの盛り上がりとなりました。


    もしWBCの余韻にひたるような期間が長かったら、たぶんこのレベルの盛り上がりは現出しなかったでしょう。気持ちを切らすことなく次の目標に向かって即ダッシュをしたことで、野球という種目への世間的関心が、「 つながり 」を保ちえたのです。

    余韻という空白の時間・期間をもし作ってしまったら、世間の関心は別のものへと向かってしまったかもしれません。今は昭和の時代のような、プロ野球と大相撲の2種目だけに関心が集まる時代ではないですから。


    人気商売であるとしても、その人気を保ち続けていくためには、不断の取り組みが必要です。人気商売でさえ、不断の努力をしているのです。

    気持ちを切らすことなく、一つのことを終えたら即、次のことへと本気のチャレンジをし始める。一つの目標を達成したら、すみやかに次の目標設定をしてスタートをきる。2024年の年頭にあたり、気持ちを切らさないこと の大切さを、当会の皆さんに述べておきます。


    ここまで書けば、私がつねに 「 野球だよ、野球~♪ 」 をスローガンにし続けている理由・背景を、さらに理解してもらえるだろうと思います。プロ野球の世界の中には、私たちが学ぶべき真理が、まさに満ち満ちているのです。

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2024年(令和6年)1月2日

汗まみれ ハゲ太