lec416.二人の絆(下) | カウンセリングサービス 仙台オフィシャルブログ

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カウンセリングサービス代表の平準司です。

 

前回のお話の続きです。

 

このご夫婦、突然、ご主人が大激怒し、離婚の危機に陥ってしまったわけですが、じつはこのようなパターンは日本にはとても多いのです。

 

ここには、がまんばかりしつづけるご主人と、要求ばかりしつづける奥さまという構図があります。

 

そして、その双方の深層心理に、「自分に自信がない」という思いがあります。

 

言い換えれば、「自分は愛されるにふさわしくない」という思いです。

 

だから、奥さんはたえず愛の確認をするように、ご主人に注文を投げ続けます。

 

「本当に私のことを愛しているのなら、できないはずはないでしょ?」というかんじです。

 

一方、ご主人は「それはそうかもしれない、自分の愛は不十分なのだ」と思い、がまんしつづけています。

 

同時に、「僕も愛してほしい」という要求も言えなくなっていて、愛のガス欠に陥り、やがて、「自分にはもう与えられるものがなにもない」と感じるようになります。

 

そして、「これではきっと嫌われてしまう」と感じた瞬間、大爆発を起こします。

 

防衛として、嫌われる前に自分のほうから嫌ってしまおうとするのです。

 

このようなケースでは、これまで、ご主人が奥さまに対してしていたことを、今度は奥さまがご主人に与えていくことが大事です。

 

 

このご夫婦の場合、今までは、奥さまが自分の欲求不満をご主人に満たしてもらっていました。

 

つまり、奥さまが依存側で、ご主人がその依存を満たす自立側だったわけですが、その“自立”と“依存”の立場がここで逆転するわけです。

 

パートナーシップではいつかこの自立と依存が逆転します。

 

そして、この自立と依存が逆転するときが、カップルにとってのいちばんの危機となるのです。

 

今回は、ご主人が「いつも愛する側ばかりじゃないか。オレのことも愛してくれよ」と怒っているわけです。

 

それに対し、奥さまは傷つき、自分を責める事に忙しく、ここに至っても、ご主人を愛するということはしていません。

 

奥さまがどれだけ自分を責めたところで、このままではこのご夫婦はうまくいきません。

 

なぜなら、いまは奥さんのほうから愛さないかぎり、ご主人はまったく動かなくなってしまっているからです。

 

「わがままなきみのことを、僕はもっともっと愛したよ」とでもいうように、ご主人は少々のことでは動かないほど、いまは愛に対し、ガンコになっている状況なのです。

 

これはかつて奥さまがご主人に対し、「本当に私のことを愛しているなら、もっともっと愛することができるはずよ」と思っていたのとまったく同じ状況です。

 

が、奥さまにしてみれば、まさか、ご主人がそんなふうになってしまうとは、想像もしたくなければ、理解もしたくないという状況です。

 

だって、ご主人は「私を愛してくれるためだけに存在している」と思っていたわけですからね。

 

しかし、カウンセリングの中で、私は奥さまに「だんなさまがどのように“私を愛してくれたか”を思い出しつつ、同じように彼のことを愛してあげてください」と注文をつけました。

 

そして、彼女は、「どんなに私がぶんむくれても、必ず彼のほうからやさしく近づいてくれた」ということを思い出し、彼が来てくれたように自分も近づくということを始めてみたのです。

 

「拒絶されても、拒絶されても、私はあきらめない」と彼女が固く誓いはじめたころから夫婦の仲は激変し、二人が涙の和解をするのにさほど時間はかかりませんでした。

 

危機を乗り越えれば乗り越えるほど、夫婦の絆は強まります。

 

このお二人も、「あの危機は、私たち二人がほんとうの夫婦になるための試練だった」と、いまは理解しています。

 

おつきあいが長くなると、いろいろな問題が二人の間に起こりますが、それはきっと、二人が強い絆を作るために必要なことなのでしょう。

 

私たちのだれもが、小さいころにいろいろな病気を経験しながら免疫力を高めていきます。

 

それと同じように、まだまだロマンスのあるカップルは、ケンカというものを通じ、絆を作り上げていくことができるようです。