lec415.二人の絆(上) | カウンセリングサービス 仙台オフィシャルブログ

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カウンセリングサービス代表の平準司です。

 

二人は結婚3年目。

 

まだ子どもはなく、二人暮らしで楽しくやっていたのですが、いきなり離婚の危機を迎えてしまいました。

 

彼女側は二人の間にはなんの問題もないと思っていたのですが、ある日、だんなさまが「もう、いいかげんにしろ! これ以上、おまえとはやっていけない!」と大爆発。

 

ここから、今回の危機がスタートしたのです。

 

「え???」という彼女。

 

いったいなにが起こったのかも、あの優しいご主人がなぜそれほど激怒しているかもわからず、ただただ戸惑うばかりでした。

 

「なんで?」と聞く彼女に、ご主人はこの3年間にため込んだ奥さまへの不満を、あれもこれもぜーんぶ語り始めたのです。

 

 

そして、「たしかに私はわがまますぎました。いまの夫婦生活は、ひとえにあなたのがまんによって成り立っていたんですね」ということに彼女が気づくまでに、だいぶ時間がかかりました。

 

だって、そんなにわがままで、どうしようもない自分だったなんて、だれだって認めたくもなければ、受け入れたくもないですからね。

 

「私って、最低じゃん」そう認識して以来、彼女はひどく落ち込みました。

 

それこそ、彼女の中の電源がオフになり、全消灯のような状態になってしまったのです。

 

ご主人はこの3年間、男性によくある「ま、オレさえ辛抱すればいいか」というパターンで、がまんにがまんを重ねていらっしゃったわけです。

 

しかし、さすがの堪忍袋の緒も3年間の忍耐の末にブチ切れ、めったに怒らない人だったがゆえに、大爆発となってしまいました。

 

そして、怒られ慣れていない彼女は、ものすごくヘコんだわけです。

 

このとき以来、この夫婦にはまったく会話がなくなり、また、ご主人は「来るな、さわるな、近づくな」といわんばかりに彼女が近づくことも許してくれなくなりました。

 

彼女はあんなに温厚なご主人をこれほどまで怒らせてしまった自分を最低の女だと思っていました。

 

一方、めったに怒らないタイプのご主人も、怒ってしまった自分を許すことができずにいました。

 

で、「こんなに温厚なオレを怒らせるアイツは、悪魔のような女だ」というふうに自分を責めていらっしゃるわけです。

 

そして、奥さまである彼女が私どもにご相談にお見えになったわけですが、「もう、なにをやってもムダだ」と感じ、全精力を使って自分を責めていらっしゃる状態でした。

 

そこで、私は彼女にこう提案してみました。

 

「あなたがどれだけ自分を責めても、そうしている間はご主人を愛してあげることができませんから、状況はなに一つ変わりませんよ」

 

「いま、あなたは、ご主人に対してなにもできないと思っていらっしゃるでしょう。でも、じつは結婚当初から、いや、おつきあいを始めた早々から、“私があなたに与えてあげられるものなんて、なに一つない”と思っていらっしゃいませんでしたか?」

 

「一方、ご主人が3年間、あなたのことをがまんし続けたということは、ご主人もきっと“がまんすること以外に、僕がきみにしてあげられることはない”と感じていらっしゃったからだろうと思いますよ」

 

しかしながら、「彼が私にしてくれることはいっぱいあるけれど、私にできることはなにもない」と彼女はふさぎ込むばかり。

 

「でも、あなたはそう思うかもしれませんが、なにもないと思ったからこそ、彼はがまんしたのですよ。いま、あなたがしているように」

 

「え?」

 

夫婦や恋人などのカップルは、同じ感情をそれぞれ別のスタイルで表現して、同じように悩むものなのです。

 

そこで私は、「あなたは、彼にいまいちばんしてもらいことを彼にしてみるといいですよ」と提案しました。

 

「だったら、私は彼に許してもらいたい‥‥。彼を許すということをするの?」と彼女。

 

「そうですね。たぶん彼は、あなたのことを怒ってしまった自分が許せないのです。でも、それを認めることもできないぐらい、彼は自分に自信がないのです。あなたと同じぐらい」と私は答えました。