心理カウンセラーの大塚統子です。
「変わりたい!」と思うけれど、うまくいかないことってありませんか?
変われないことに影響する心理を、いくつか解説します。
◆変化はストレス
はじめに、心と変化についてお話しすると、変化は人間にとってストレスです。
これは、ネガティブな変化はもちろんですが、ポジティブな変化(昇進や結婚など)であっても、変化はストレスになります。
動物の安全を求める本能として、基本的に変化は「恐怖」なんですね。
今までの行動の範囲ならば、ある程度の予測がつくし、これまでの経験が役に立ちます。
しかし、知らないもの・わからないものは、どうなるか想像がつかないので、恐いし、不安を感じるようになっています。
◆現状維持バイアス
そして、これらの変化を心理的に妨げるのが、「現状維持バイアス(バイアス=思い込み・先入観)」です。
この現状維持バイアスというのは、「こうしたほうがいい」と思っていても行動にうつせないなど、たとえ現状に不満があったとしても、変化を怖れて現状維持の方を選びやすいという傾向のことです。
例えば、うまくいかなくなった恋愛を「もう少し頑張れば」と手放せないとか、「転職したい」と思っても実際に活動できないとか。
「片づけられない」「捨てられない」なども、現状維持を選んでいる状態ですね。
たとえ現状が望むものでなかったとしても、そこに留まろうとしてしまいやすいのです。
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それから、変化しようとがんばったら「必ず良くなる」という確実な補償は、変化前には得られませんよね。
なので、「失敗したくない」「時間と労力を無駄にしたくない(喪失・損失を避けたい)」という思いの方が勝ちやすいようです。
そこで、変わらないための理由、現状維持する理由を探すようになります。
例えば、「今から出会って、うまくいくかわからない恋愛よりは、今のままの方がいいんじゃないか?」とか。
「今は気持ちが乗らないから、片付けるタイミングじゃないんだ」とか。
いわゆる先延ばしの言い訳で、そう言い訳する自分のことをどこか好きになれなかったりもします。
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変化を避けようとすることには、私たちの記憶の仕組みも影響しています。
私たちの記憶は、ネガティブな出来事は危険を避けるために思い出しやすくなっています。
一方、ポジティブな出来事は、特別なことでないと、あまり覚えていないという特徴があります。
したがって、過去に変化しようとしたときの記憶も、意図的にうまくいったことの方を思い出さないと、「失敗した」とイヤな思いをした記憶の方ばかり思い浮かびやすくなります。
それがまた、現状維持の理由になりやすいわけです。
ネガティブな記憶は芋づる式にどんどん出てくるけれど、ポジティブな記憶はがんばって探さないと思い出せない、そんなお心当たりはありませんか。
◆不安の97%は取り越し苦労
ちなみに、不安について、ちょっとお話ししておきましょう。
あるアメリカの研究者が、日常的に不安を感じやすい人に、不安に思った結果がどうなったかという調査をしました。
そうしたら、心配事はどれだけ現実になったと思いますか?
なんと、心配事の85%は現実にはならなかったそうです。
また、心配事が現実になった15%のうち、12%は想像より悪くない結果で済み、自分の力で解決できたそうです。
このことから、不安の97%は取り越し苦労だったと結論付けています。
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いかに「不安に思わなくていいこと」まで不安に思うかというのが数字に表れていますね。
もし普段から不安を感じやすい方がいたら、日常の小さなことから
・不安に思ったこと
・実際にどうなったか
を記録してみると、「そんなに不安に思わなくていい」と認識しやすくなるかと思います。
◆人生の物語
もし、人生に物語のような設定があるとしたら、一体どんな物語の設定があるでしょう?
私達は普段意識していないところで、いくつもの物語をもっています。
物語というと大げさかもしれませんが、「こうするとこうなる」、「きっとこうなるにちがいない」といったストーリー性のある考え方と思ってみるといいかと思います。
例えば、辛いことを耐えて頑張っていれば、いつか必ず幸せがやってくるといった物語はありませんか?
子供の頃必ずと言っていいほど見聞きするお話には、『シンデレラ』や『白雪姫』などがあるかと思います。
想像力豊かな子供は、主人公のお姫様に自分を重ねて考えます。
今自分が辛いと感じていることが、まるでお姫様たちが経験している試練と同じように思い、いつか王子様が私を見つけてくれる、迎えに来てくれるという夢を思い描くことがあります。
いわゆるヒロインの物語ですね。
そして、子供心に「幸せがやってくるには、今辛いのはがまんしなければいけない」ことなのだと思ったりしませんでしたか?
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男性版でいうと、和の例えになりますが、『桃太郎』とかでしょうか。
鬼退治をして、成功して故郷に帰るヒーローの物語ですね。
この物語は、勇気をもって立ち上がり、困難に打ち勝って、金銀財宝を手に入れて幸せになるヒーローのお話です。
この物語に自分を重ねて、例えば「幸せになるためには、悪い敵と戦って勝利しなければならない」という物語設定はないでしょうか。
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また、一般的によく聞くお話に、「橋の下から拾われてきた話」というのもあるかと思います。
親や兄弟から「お前は本当はこの家の子供じゃない。実は○○川の橋の下から拾ってきた子供なんだ。」と聞かされ、大きなショックをうけた経験はないでしょうか。
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苦労に耐えて幸せになるヒロインの物語、戦いに勝って幸せになるヒーローの物語、拾われた子供の物語など、の例のように、「そういえば、昔自分もそんなふうに信じていたことがあったなぁ。」と思い出すような物語設定があったりします。
これらの物語設定は、童話や昔話、大人から聞かされる話などから取り入れられるものも多くあります。
これらの物語を持っていることが悪いことではありません。
ネガティブさと一緒で、それがあることは悪いことではありません。
バランスが大切なのです。
これらの物語も、度を越すと人生に不都合を起こしやすくなってしまいます。
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今直面している問題があるとしたら、もしかしたら、その問題の背後にあるあなたの物語、あなたの人生のシナリオが影響しているのかもしれません。
今起きている問題から、隠れている物語・あなたの人生のシナリオを探し出し、その背景を理解・納得するというのも、一つの癒しになるでしょう。
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