心理カウンセラーの大塚統子です。
「完璧であろう」とすることは、基本的には素晴らしいことです。
「完璧を目指す」のは、仕事の質をよくするとか、向上心をもつとか、自分を成長させるといった意味では大事なことです。
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しかし、もし「完璧にしなきゃ」「完璧でいなきゃ」がご自分を苦しめているならば、その完璧は少しゆるめておくといいのかもしれません。
自分自身に完璧さを求めると、過剰なプレッシャーを自分にかけることになります。
また、細かな点が気になって、イライラしたり、落ち込んだりてしまうのも、完璧主義ゆえかもしれません。
「完璧にしなければ」とそのことに集中していると、心身ともに緊張状態が続くことになります。
疲れてしまう、心身をゆるめて休むのが苦手になる、といったことも起こりやすいでしょう。
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そしてまた、完璧主義が強すぎると、周囲にも影響を与えることになります。
本人にはそんなつもりはないのですが、「私はやっているんだから、あなたもやって当然」と、周囲の人にも完璧を求める形になっている場合があるようです。
これは、自分と相手の目指すところが同じならば、「一緒に頑張ろう!」と思えるでしょう。
しかし、お互いの目指すところが異なると、相手は「そこまでしなくてもいいんじゃない」と思うこともあるようです。
周囲の人から「そこまでしなくても」と言われているとしたら、完璧主義の注意報を出してくれていると思ってもいいのかもしれません。
また、「私はあなたのようにはできないよ」という声が周囲にあるとしたら。
悪気はないのですが、周囲の人に無力感や無価値感を感じさせている可能性があります。
基本的に、相手が何を感じるかは、相手の責任です。
けれども、相手が感じていることに「自分も何か影響を与えているのかもしれない」と考えることもできるでしょう。
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例えば。
小学生の男の子と母親が、病院で診察を受けることになりました。
お医者さんが男の子に「どこが痛いの?」と聞きました。
すると、お母さんが「お腹が痛いって言うんです」と答えます。
お医者さんは、再度男の子に聞きます。
「いつから痛いの?」と。
するとまた、お母さんが答えます。
「今朝からです。」
このやりとりが続いている時、男の子はどう感じる可能性があると思いますか?
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ポジティブなものでは、「お母さんがやりとりしてくれて、ありがたい」というのもあるかもしれません。
とはいえ、多くの場合は。
「僕が話さなくても、お母さんが全部してくれる」
「僕が答えるよりも、お母さんに任せておけばいい」
「お母さんが話すから、僕は何もしない方がいいんだ」
「お母さんのように、テキパキと答えることは僕にはできない」
といったことが起こりやすいかと思います。
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これ、息子と母親の創作事例ですが、パートナーシップで同じようなことが起きていないでしょうか?
完璧主義さんが事例の母親の役割、パートナーが自分で何もさせてもらえない息子の役割で。
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パートナーとの関係で、例えば、料理に関しては私が事例の母親的なポジション、車の運転に関しては彼が事例の母親的なポジション、というように、事例の母親のように与える側のポジションをお互いが持っていれば、まだバランスが取れるかもしれません。
もし、すべてにおいて、事例の母親のポジションを私が独占していたとしたら。
相手を「自分は何もできない」「自分には何もさせてもらえない」「自分はいる意味あるのかな」といった気持ちにさせてしまうことがあるのかもしれません。
そういった無力感、「自分は何の役にも立てない」「自分には価値がない」と感じるのは嫌なものです。
なので、その関係はいずれうまくいかなくなることが予想されるでしょう。
悪気はないのですが、自分が完璧すぎると、周囲の人が活躍する場を奪ってしまうことにもなりかねないのです。
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また、すべてにおいて完璧な人のそばにいると、どんな気持ちがするでしょうか?
「息が詰まる」「緊張する」「ちゃんとしなきゃと思う」となりませんか?
完璧さは素晴らしいことでもあるのですが、周囲の人が安らぎを感じにくい雰囲気を作ってしまう場合があります。
これも、もちろん悪気はないんですよ。
むしろ、良かれと思ってがんばっていることが裏目に出ているケースだったりします。
「彼女は非の打ち所がない、とても素晴らしい人。」と思っているのにも関わらず、浮気をする彼氏の心理には、「完璧すぎて一緒にいて息が抜けない」という理由があったりします。
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がんばって完璧を目指しているのに、周囲にそんな影響を与えていると考えたら、ショックをうけるかもしれません。
この話は、「不完全な部分があってもいい」というお話しだと思って、読んでいただきたいのです。
完璧主義さんは、不完全な部分を無くそうと努力される方が多いです。
そしてまた、努力の結果、克服していく力を持っている方も多いです。
それが、必要な努力ならば、純粋に応援させていただきたいです。
しかし、克服しなくても大丈夫な部分なら、それはチャームポイントとしてそのまま残していただけるといいのかなと思います。
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例えば、仕事は早くて正確、人当たりも良く人望も厚い上司がいたとします。
全部が完璧だと、もうただ尊敬するしかなくなるでしょう。
でも、もしその普段は完璧な上司が、「蜘蛛だけはどうしても苦手」だったとしたら。
完璧なはずの上司に、「これはダメ」という苦手ジャンルがあったとしたら。
すべてが完璧ではない方が人間味があって、上司が自分に近い人と感じられるのではないでしょうか。
そして、蜘蛛退治ができる部下がいたら、その部下は上司にとってのヒーローになるでしょう。
時折見せる上司の弱さが、他の人の強さを引き出すことになるでしょう。
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ということで、まとめると。
完璧を目指すことは素晴らしいことです。
ただ、完璧を求めすぎると、自分のことも周囲の人のことも苦しくしてしまうことがあります。
また、あまりにも完璧すぎると、悪気は一切ないけれど、周囲の目指すところとすれ違いが起きたり、周囲の人に無力感や無価値感を感じさせたり、周囲の人を緊張させたりすることがあります。
完璧な部分と、そうではない不完全だったり苦手だったりする部分がある方が、人間味があって、親近感を感じてもらいやすいようです。
また、不完全さや苦手な部分は、それを得意とする人の活躍のチャンスになります。
といったことをお伝えしました。
パートナーとの関係ですべて完璧でなくてOK、むしろすべて完璧ではない方がいいのかもと思っていただけたらと思います。
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