lec274.人生に足りていないものは? | カウンセリングサービス 仙台オフィシャルブログ

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カウンセリングサービス代表の平準司です。

 

彼女は自分にまったく自信をもっていませんでした。

 

「私には魅力も価値もない。こんな私のことを好きになってくれる人などいない」と思い込んでいたのです。

 

このような信念をもった人の考え方のパターンを変えようとするとき、私たちカウンセラーは、しばしばこんなことを聞いてみます。

 

それは、自分以外のだれに対して、同じような判断をしているかということです。

 

私たちは、自分に対しても、ほかの人に対しても同じルールを適用しているので、自分に下しているなんらかの判断は、だれかにも同じように下しているはずなのです。

 

「“あんなふうにはなりたくない”などとあなたが思っている人というと、だれが思い浮かびますか?」

 

私がそうたずねると、彼女は即座に「おじいちゃん」と答えました。

 

彼女のおじいさんは自分の会社を興し、事業がうまくいき、経済的に大成功した人でした。

 

が、他者に対するコントロールの強いタイプで、口が悪く、部下に対しても怒鳴ってばかりいるそうです。

 

家にいるときも家族の中に君臨し、奥さまであるおばあちゃんはもちろん、息子の嫁である彼女のおかあさんにも怒鳴り散らし、奴隷のように扱う始末。

 

そんなおじいさんですから、まわりにはあまり人が寄りつかないし、評価されることもありません。

 

そして、彼女もまた、おじいさんのことが大嫌いであったわけです。

 

とはいっても、おじいさんは彼女のことをかわいがり、さほどなつく子でなかったにもかかわらず、大学の学費を出し、車をはじめなんでも買い与えてくれました。

 

私は彼女に聞きました。

 

「おじいちゃんはなぜ、いつもあんなに怒鳴ってるんだろうね?」

 

「淋しいんだと思います。だれも自分のことを認めてくれないし‥‥」

 

彼女曰く、怒鳴っているおじいさんは、「かまって、かまって」と言っている駄々っ子のように見えるそうです。

 

おじいさんは極貧の農家に生まれました。

 

父親が事業を始めたものの失敗し、そのストレスで酒を飲んでしまったりするのでさらに貧しくなり、母親は栄養失調で目が見えなくなってしまうほどだったといいます。

 

おじいさんは中学を出てサラリーマンになったのですが、自分にまったく合っていないと思いながらも、仕事というのはこんなものだと耐えながら続けていたとか。

 

が、ちょっとした芸能関係の仕事に誘われ、人生で初めて心躍るような体験をして、それをきっかけに会社を辞め、退職金を元手にいまの会社を作ったそうなのです。

 

晩年は目の見えない自分の母親を引き取り、面倒を見たそうで、そんないいところもあるおじいさんなのですが、まわりから認められることも評価されることもなかったわけです。

 

ただ、彼女自身も含め、まわりの人もそのことを気にしてはいたのです。

 

そこで、彼女にこんなセッションをしてみました。

 

「おじいちゃんのおかあさんの目になってみて」

 

貧しく、なんの手もかけてやれなかった自分の子どもが苦労して会社を立ち上げ、大金持ちになって、自分の面倒を見てくれた‥‥。

 

そんな、母親の目になっておじいさんの人生を見てもらったところ、彼女は過呼吸になるほど大泣きをしてしまったのです。

 

彼女は、おじいさんにも自分にも、とても強い“承認されたい欲求”があることに気づきました。

 

その後、彼女はおじいちゃんを承認するということを実践し、それによって、「自分の中にある愛に触れることができ、心が満たされる」という体験をしたようでした。

 

あなたが欲しいもの。

 

それは、あなたがだれかにあげていないものであることが多いのです。