lec242.超ひきこもりの彼(前編) | カウンセリングサービス 仙台オフィシャルブログ

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カウンセリングサービス代表の平準司です。

 

ヘタレ男を更生する

その日、ご相談にお見えになった女性の彼氏は、ほとんど彼女のヒモのような存在でした。

 

ヒモというと、なにかプレイボーイや暴君のようなイメージがあるかもしれませんね。

 

しかし、この彼はまるでペットのように、彼女の部屋で暮らしていました。

 

大学を卒業してから一度も働いた経験がなく、社会というのはとても恐ろしいものだと思い込んでいるような人だったのです。

 

彼女曰く、「どう見ても、これからも働けるときが来るとは思えません‥‥」。

 

だったら、そんな彼とは別れてしまえばいいのに‥‥と、ほとんどの人は思うことでしょうね。

 

しかし、彼女は言うのです。

 

「そんなかわいそうなこと、できるわけないじゃないですか!」。

 

拾ってきた子犬を「元のところにすぐ返してきなさい」とおかあさんに言われたかのような口ぶりです。

 

で、彼女のご相談はといえば、「私たち、これからどうしていったらいいんでしょう‥‥?」というものでした。

 

当然といいますか、彼氏が働く見込みがないのであれば、現在と同じように、これからも彼女が働き、生活を支えていくしかありません。

 

代わりに彼が家事をすればいいと思うわけですが、彼は働くこと以上にやる気がないらしいのです。

 

そんなこんなで、だれに相談しても、「そんな彼、救いようがない。すぐに別れたほうがいい」と言われる始末。

 

それで、別れる以外の方法はなにかないものかと、私どもにご相談にいらっしゃったというわけです。

 

心理的に見ていくと、彼の深層心理にはこんな思いがあると考えられます。

 

「こんなオレが、なにか達成できるわけがない」

 

そして、それを証明するような生き方をしているわけです。

 

このような思い込みのことを、私たちは“ひきこもりの怒り”と解釈します。

 

彼はけっして怒ったりしないタイプです。

 

彼は、怒りのすべてを飲み込みます。

 

そして、自己攻撃するかのように、自分を否定することにより、自分以外の他者と分離しながら過ごしているのです。

 

そんな彼に「そうよねー、そうよねー」と同意するということは、彼の弱さに同意し、ネガティブな自己概念を承認してしまうということになってしまいます。

 

すると、彼はさらにちっぽけになり、ひきこもりの度もいよいよ増していきます。

 

‥‥ということで、私が彼女に言ったのは、「彼を育て直すしか、手はないですね」ということでした。

 

といっても、彼は徹底的に抗戦するはずです。

 

が、彼女と一緒に住むことは、彼にとってなんらかの利益があるはずです。

 

なぜなら、彼は表面的には「こんな自分を受け入れている彼女をうまく利用している」と思っているかもしれませんが、深層心理にはおそらくこんな期待もあるからです。

 

「彼女なら僕の中にある可能性や才能、そして、これまで使ってこなかった人々への愛などを見つけてくれるのではないか‥‥」

 

しかしながら、そのような才能や愛をいままで使ってこなかったという人はたいてい、誰かにひどく否定されたという経験を彼はもっているものです。

 

すると、その経験を彼女に投影し、彼は怒りを表します。

 

「いまさら、なんなんだよ。もう遅いよ。おまえがこれを否定したから、こうなったんだぞ!」

 

世話が焼けますね。

 

しかし、じつはこれが解決への入口になるのです。